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会報誌CANVAS NEWS

【CANVAS NEWS】2025年2・3月号

2025年2・3月号 誌面

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社会課題の解決に向き合うNPO メールインタビュー全文

特定非営利活動法人 身体障害者サポート協会 大阪障害者就労支援センター 岡村 奈々さん

  • 1.団体設立のきっかけや経緯を教えてください。

 設立代表者が当時障害を持ちながら就職活動をする中で困難さや課題等を感じたことがきっかけで法人を立ち上げました。障害のある方の自立や就職、働き続けることができるよう、また社会や地域とのつながり、居場所づくりができたらという想いから設立に至りました。当初は大人の障がいのある方の事業所を複数運営しておりましたが、その中で幼少期の療育がとても重要なことが分かり、現在では子どもの事業所でお子さまの未来を見据えたサポートもしております。

(※連携して対応している事業所は、下記に掲載しています。)

   

2.団体の活動内容について簡単に教えてください。

 『自立訓練(生活訓練)・就労移行支援・就労継続支援B型・就労定着支援』の4つのサービスを提供しております。社会に出るための力をつけたい方や自立したい方など、日常生活で必要となる様々な能力向上のためのサポートや、就労や復職に関するサポート、就職後長く働き続けるための支援などを行っております。

   

3.自立訓練(生活支援)について、地域社会やボランティアとの交流はありますか?

 区民センターで開催されるイベントや、地域の料理教室等に定期的に参加し、地域の方々と直接交流できる機会を設けております。また近隣店舗など周辺の清掃活動を通して交流を図っております。

   

4.世の中全体で、障害者の就労者数は増えていますか。貴センターの就労移行支援を経て、どのくらいの人が就職に至っているのでしょうか?

 障害者の就労(就労継続支援A型・B型を除く)の数は法定雇用率(244月から2.5%)の引き上げに伴い増加傾向にあると思います。今後も法定雇用率は上がっていくようなので増えていくのではないかと考えております。弊所ではその年にもよりますが、1年間に約510人の方々が障害者雇用で就職しております。

   

5.就労定着支援について、就職された人が定着する上で、課題だと感じていることを教えてください。就職先に理解してほしいこととして、どのようなことがあるのでしょうか?

 1つ目は「人間関係」です。上司や後輩等、職場では当たり前の関係性ですが、初めての経験の方もいらっしゃいます。また障害者雇用先で働く方々は障がいも年齢も様々な中、慣れない環境で働くことで悩みを抱えるケースも少なくありません。当事業所ではSSTや集団授業等で少しでもギャップが生まれないようにイメージをつけるよう取り組んでおります。

 2つ目は「障害者雇用についての理解」です。利用者さんの中には障害者雇用を福祉サービスの1つだと認識されていて“何でも配慮してくれる”と思っている方が、入社してから“思っていたのと違う”となる場合があります。障害者雇用なので配慮して頂けることはあっても、働く先は企業の中であり、福祉サービスの枠の中ではないということ、ご自身でも出来るように工夫しなければならないことを認識していただけるよう取り組んでおります。

 就職先に理解してほしいことは、手帳は同じでもそれぞれの障害特性は全然違うということを認識してもらえればと思っています。例えば、この方は発達障害なので○○が得意(苦手)!と思っていてもその方の特性によっては違うケースがあります。それぞれの障害特性をよく理解していただき、特性に合わせた環境づくりをして頂けると利用者様も働きやすいのではないかなと考えております。

 また、障害者雇用に取り組まれている企業様でも「就労定着支援」というサービスがあることをあまり知らないところも多いので、まずはサービスを使ってもらい、企業様が出来る範囲の配慮と、利用者様自身の自己対処のバランスを保つことで就労定着に繋がると考えております。

   

6、これらの活動を通して、団体として大切にしていることを教えてください。

 関わる人たち皆でサポートすることが大切と考えております。また障がいのある方がその人らしく安心して暮らしていくには地域社会との繋がりを深めることが重要かと思いますので、今後も地域の皆さまと交流を続けていき、協力し合いながら環境をつくっていきたいと考えております。

   

7.今後の展望について教えてください。

 今後の展望としては、これまで築いてきた地域との繋がりをさらに深め、より多くの方々に私たちの取り組みを知っていただくことを目指しています。具体的には、障がいのある方の新たな可能性を引き出すためのプログラムの充実や、多様な就労機会を提供する企業との連携強化を図りたいと考えています。また、地域の方々との交流イベントや勉強会を通じて、共生社会の実現に向けた理解と協力を促進していくことも重要だと考えています。

 さらに、障がいのある方が自立し、その人らしく生きていけるための環境づくりをより一層進めていきたいと思っています。これらの取り組みを通じて、地域社会全体が支え合い、共に成長していける未来を目指していけたらと考えております。


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※当団体と連携して対応している事業所の一覧です。

〈大人の事業所〉
・大阪障害者就労支援センター(https://ohcc.biz/)
・大阪障がい者支援センター(https://www.osaka-shien.com/)
・ディスエイブルド就労支援センター(http://disabled-osaka.com/)
・大阪ろう就労支援センター(https://deaf-osaka.com/)

〈子どもの事業所〉
・キッズ大阪(https://kids-osaka.com/)
・こどもの森(https://kodomo-mori.com/)

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特定非営利活動法人 サードプレイス 中西 美穂さん

1.ホームページを拝見すると「サードプレイスは脳性まひ児を持つ保護者のオンラインコミュニティです。」とあります。活動を始めたきっかけを教えてください。

 自分自身の子どもが脳性まひで出生し、普通の育児とはかけ離れた育児に戸惑い、孤独を感じていました。それをきっかけに障がい児を持つ親御さんのコミュニティを作りたい、という思いでサードプレイスを立ち上げたのがきっかです。最初は、ともにリハビリのために親子入院していた母親同士のLINEグループがスタートで、そのメンバーが増えて100人を超えたので、管理をするため、また、団体として活動するために、2022年に法人化いたしました。

      

2.団体名称の「サードプレイス」はどのような思いをもって名づけられたのでしょうか。

 サードプレイス(Third place)と検索すると「コミュニティにおいて、自宅や職場とは隔離された、心地のよい第3の居場所を指す」とあります。私たちは、当事者家族のとまり木のような場(サードプレイス)でありたいと考えています。その思いを込めてロゴも英文字のThird placeを、森の枝に休まる小鳥に模しています。

 

  

  1. 3. 主な活動内容を教えてください。

 主に脳性まひ児(障がい児)がある親のオンラインコミュニティサイトを運営、定期的に勉強会、交流会を開催しております。他に、障害がある子どもが描く「チャレンジド・アート」の普及、障害ある子どもを育てる母親にインタビューしたオウンドメディアのピアサポートマガジン「インクル」の発刊、そして、インクルーシブな居場所支援「ぱぶすぺ」の運営を行っております。また、今春、児童発達支援・放課後等デイサービス「ネスト」の運営を開始する予定です。障害児・者の置かれた環境の周知、さらに社会整備の改善に繋げることを目的に活動しております。

 サードプレイスにおける一番の強みは「政策提言」です。私自身が元々記者出身ということもあり、現在も障害児・者に関する記事を執筆しており、その延長線で政策提言の活動を行っております。全国組織として、国に対して政策提言を行い、産科医療補償制度の一時金給付、補装具の所得制限撤廃などは活動の結果として残すことができました。現在も引き続き、障害児制度の所得制限撤廃、障害児の親の権利、そして、発達障害児の日常生活の課題に関して、政策提言を行っています。今後は、大阪府、大阪市での政策提言においても力を入れていきたいと思っております。

   

4.主催されている「ぱぶすぺ」について教えてください。

 自分の子育ての中で、和歌山から大阪市内の全校生徒700人というマンモス校に引っ越してきて、なかなか子どもの障害を理解してくれる環境がありませんでした。そこで、子どものこと、障害、配慮が必要な子どもを理解してくれる場所を提供したいと思っていたところ、大阪市の助成を受け、みんなの居場所として20244月にスタートしました。

 配慮が必要な子どももそうではない子どもも一緒に遊べ、さらに配慮の必要な子どもを持つ親もそうではない子どもを持つ親も楽しめるインクルーシブな居場所です。対象は幼児・小学生とその親。毎月第2・第4水曜日の午後2時半~5時半に大阪市中央区「中大江校下センター」にて開催しています。月2回の開催ですが、インクルーシブを共有できるソーシャルな居場所を地域の人々と作り上げ、障害のある子どもたちとその親に限らず、地域住民との連携も図りたいと考えています。

    

5. 今後の展望について教えてください。

 今春より、児童発達支援・放課後等デイサービス「ネスト」の運営場所で、「ぱぶすぺ」も開催予定にしています。居場所とデイサービスを同じ場所で運営することで、さらなるインクルーシブな居場所を推進していきたいと考えています。そして、ピアサポートマガジン「インクル」では、多くの当事者、支援者、社会の方に知ってもらえる存在になるように、周知活動を進めていく予定です。

 また、障がいのある子どもが描くチャレンジ・アートの普及にも力を入れていきます。現在、企業・団体様との連携やコラボも進めており、いずれ収益化することを目指し、子どもたちに還元するのが目標です。