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会報誌CANVAS NEWS

【CANVAS NEWS】2026年2・3月号

2026年2・3月号 誌面

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社会課題の解決に向き合うNPO メールインタビュー全文

NPO法人輪母ネットワーク 永松 なつめさん

1.2006年の発足から今年で20年を迎えられますが、当時、障害のあるお子さんを持つお母さんたちが集まられたきっかけを教えてください。

 当時、生野区で障害児を育てている保護者の間で、地域の中で情報交換と相談ができる場所やコミュニティが欲しいということになり、すでにたまたまつながりがあった保護者数名で作ったと聞いています。
 当初は5人程度からスタートし、他の保護者にも声をかけながら任意団体として活動が続いてきました。2021年には生野区内に拠点となる「わははハウス」を開設。2022年にNPO法人化したあと、2023年には法人として持続可能な団体としての体制整備と運営適正化を図るため、新体制になりました。

「わははハウス」の様子
         

2.活動の中で印象に残っている「つながり」のエピソードがあれば教えてください。

 保護者のピアとして活動していたはずが、団体として続いてきた中で、周囲からも支援者として扱われるようになり、その期待に応えようと団体として頑張りすぎた時期がありました。その結果、団体内で保護者間の依存構造を作ってしまったことは、いまも活動の中心にいる理事たちの中で大きな痛みとなって残っています。「ピアとはなにか」「健全なコミュニティの運営とはなにか」を徹底的に話し合い、現在は、「依存しない・させない」形でのつながりが構造的に実現できるような活動を目指しています。

   

  1. 3.20年活動されている中で、発足当時よりどのような課題が改善されたと感じられますか。一方で、発足当時と変わらぬ課題や今後さらに取り組まれていきたい課題があればお聞かせください。

 障害児者と家族をとりまく環境の変化として、20年の間に、児童発達支援や放課後デイサービスが増え、障害児の親が障害者福祉サービスにつながりやすくなりました。また、最近では成人後や親なきあとの生活の場として、グループホームもたくさん増えてきています。
 インターネットでの情報交換も活発になり、情報が集めやすくなったとも感じます。
 しかしながら、選択肢が増えた分、あふれる情報の中で、適切な情報の取捨選択が難しくなったとも言えます。とくに、地域に根差した情報はインターネットだけでの収集は困難です。生活のための情報はかならず地域の中にありますが、「地域の情報に強い」と言われる親の会という存在は全国的に衰退の傾向にあります。共働きが当たり前になり、保護者の時間制約が増えたのも理由の一つです。
 これらの問題解決の手段として、保護者が自分に合った情報に自分のペースでアクセスしやすい環境を提供できるように、いつでも立ち寄れる障害児者家族のためのコミュニティスペース「わははハウス」という物理的な拠点が地域密着型として存在することは、社会に対する一つの貢献であり、大きな前進だと感じています。

「わははハウス」内の本棚では、地域情報にもアクセス可能

    

 一方で、保護者同士の繋がりのあり方については、常にアップデートし続けるべき課題です。「ピア=対等」であるはずが、いつの間にか上下関係が生まれてしまうリスクは常にあります。また、従来型の「親の会」では、依存構造がどうしても生まれやすくなってしまいます。「徹底的なピア」の維持と、それを守るための組織構造の確立には、今後も継続して取り組んでいきたいと考えています。
 NPO法人輪母ネットワークは、新しい時代の親の会の形として、「依存構造をつくらない」「アクセスしやすい」「地域に密着」という3点に重点を置いたピアコミュニティのモデルケースになれるように事業を進化させていきたいと思っています。

   

4.コミュニティを運営されるなかで「同じ境遇の家族同士」だからこそ共有できる思い・悩みなどには、どのようなものがありますか。

 輪母ネットワークは障害の種別にこだわらず、ひろく間口を広げている状態ですが、障害といっても、さまざまな事情があり、困りごとも異なります。お互いの悩みや事情が違う中で、困難を比較するのではなく、それぞれに一歩寄り添うことが、子どもや家族の障害に対する理解にもつながります。
 また、障害児を育てていると、早い段階から「子どもの人生を左右する決断」を、親が代わりに行わなければならない場面に多々遭遇します。本人の意思を確認しづらい中で決断を下す重圧は、非常に苦しいものです。 一人では抱えきれず、誰かに「代わりに決めてほしい」と思ってしまうこともあります。そうした決断の苦しさや、背負っているものの重さを、同じ目線で分かち合えるのは、やはり同じ境遇の家族同士だからこそだと感じます。
 同時に、私たちはあえて「解決をしない」というスタンスを大切にしています。「助けてほしい」という声に対し、良かれと思って答えを出したり、肩代わりして解決してあげたりすることは、結果的に「支援する側・される側」という上下関係を作ってしまうからです。 
 私たちは実質的に同じ立場であり、対等です。人間の心理として解決してあげたくなる衝動はありますが、そこをグッと堪え、答えを出すのではなく「横に居続ける」こと。答えを提供するのではなく、情報を提供することに専念する事。これらを守ることこそが、ピアコミュニティとして守るべきボーダーラインだと考えています。

2024年には『障害のある人とその家族のための防災ワークブック』を発行。情報を必要とする人への無料配布も行っている

  

5.「障害児者とその家族としてただ支援されるだけでなく、私たちにできることから取り組んでいく」という言葉が印象に残りました。このスタンスを大切にされている理由をお聞かせください。

 障害のある子どもを育てていると、支援を受ける場面というのはどうしても多くなります。それらは必要な支援ではありますが、時に、委縮を招き尊厳を削られるような思いをすることもあります。すべての人間には、『その人がそこに存在することでできていること』がたくさんありますが、それを見失ってしまうのです。
 それらを団体としてわかりやすく伝えること、さらには個人が社会貢献をしやすくする手段を提供することが、当事者や家族の心と尊厳の回復、”じりつ”(自立/自律)にもつながると感じています。ひとりだけで何でもできる必要はないということを知ってほしい。輪母ネットワークが、できることから取り組んでいく姿を見せることが、その気づきにつながっていくと感じています。

   

6.今後の展望について、教えてください。

 輪母ネットワークは、今後「完全寄付型」の団体として運営していくことを決めています。 行政の事業受託などを中心に据えると、どうしても「サービスを提供する側と受ける側」という構造が生まれてしまいます。また、わははハウスの利用は完全に無料にしていますが、それは経済的な事情でわははハウスの訪問を躊躇するような家庭が出てほしくないというのも理由の一つです。対価をもらわず、寄付によって成り立つ形を貫くことで、誰のサポーターでもなく、ただそこにいる一当事者、一保護者として、同じ目線で語り合える「徹底的なピア」の場を守り続けていきたいと考えています。そして、私たちが目指す「徹底的なピア」という形に共感し、協力してくれるサポーターとのつながりも広げていきたいと思っています。

地域ボランティア活動として、児童発達支援センターにて手作りおもちゃを作っている

特定非営利活動法人みらい 辰己 訓啓さん

    • 1.団体設立の経緯を教えてください。

 団体設立の背景には、代表自身の経験があります。30代前半に大きな事故で長期入院をし、退院後もしばらく日常生活に制限がある中で、ヘルパーの支援を受けたことをきっかけに、福祉の仕事に関心を持つようになりました。その後、介護の資格を取得しています。
 その後は別の業界で仕事を続ける中で、知人が運営する児童発達支援事業を手伝う機会があり、子どもたちが成長していく姿を間近で見たことが、現在の活動につながっています。
 子ども一人ひとりの変化や成長に向き合いながら関わることにやりがいを感じ、「丁寧に寄り添う支援を続けていきたい」と考えるようになったそうです。約8年半前、こうした思いを形にするため、特定非営利活動法人を設立しました。

    

2.みらいのミッション、主な事業、「大切にしていること」を教えてください。

 一方的な支援ではなく、相手の声を聴き、共に考える姿勢を重視しています。助けるよりともに歩むことを大切にしています。地域の人々や周りの全ての方が安心して関われるような、組織作りを行い、定期的に大々的なイベント等を行っています。問題を今だけ見るのではなく、100年続く次世代につながる仕組みづくり・人づくりを意識しています。

  

3.子どもたちの成長を長期的に支えるうえで、職員やボランティアが共通して大切にしている価値観や関わり方のルールはありますか。

 安心できて過ごせる場を作りながら関係づくりを何より重視しています。信頼関係を大事にしながら、チームで支えること一人で抱えずに相談し、情報を共有するルールを大切にしています。どのスタッフが関わっても安心できるよう、組織全体で支援しています。

     

4.みらいの運営や事業の実施で課題を感じていること、自団体に特有と思われる難しさや、逆に励みになっていることがあれば教えてください。
 事業を広げたい気持ちはありますが、現場ではスタッフやボランティアの確保が難しく、子どもたち一人ひとりに丁寧に関わるには、継続的に関わる人が必要だと感じています。支援活動は目に見える成果が出るまで時間がかかります。そのため、資金力も大事だと考え、持続可能な仕組みづくりが今後の課題です。
 何よりの励みは子どもの保護者さんから、NPOみらいが、あって助かった、『ありがとう』と笑顔です。


     
5.今後やってみたいことや目標、アピールしたいことを教えてください。
 子どもから、大人、老人までその人がその人らしく安心して過ごせる人生の場所を提供できる場を作っていきたいです。新たな事に挑戦できる場所をもっと広げていきたいです。  「みらい」が目指すのは、えがおの先のみらい誰もが人とのつながりを感じながら成長できる社会。今いてる子供達がふらっときてくれてもある場所で100年続く場所や、組織が、私たちの次の目標です。