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会報誌CANVAS NEWS

【CANVAS NEWS】2021年8・9月号

会員誌「CANVAS NEWS」

2021年 8・9月号 誌面

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メールインタビュー全文

ビッグイシュー基金

高野太一さん

住居喪失者や生活困窮者への支援においてコロナ禍になって変化はありますか?

民間ネットワークでの活動が拡大しました。
具体的には、
◎東京都へのホームレス支援団体複数による申し入れの活動
1回目の緊急事態宣言が出た際に、ネットカフェへの休業要請がありました。 そのため、都内の生活困窮者を支援する団体・個人で、東京都へビジネスホテル等を活用した個室の居所の確保を求める申し入れをしました。申し入れは5回におよび、この活動には1万筆を超えるweb署名が集まりました。
参照:https://bigissue.or.jp/2020/07/20073102/

◎「新型コロナ住まいとくらし緊急サポートプロジェクト」への立ち上げと参加
釜ヶ崎支援機構、Homedoorなど、大阪で活動する困窮者支援の団体22団体で、2020年5月から上記プロジェクトを立ち上げました。合同相談会の開催と、ビジネスホテルなどでの緊急宿泊費の提供を目的に、これまでに6回の合同相談会を開催し、151人に1116泊の緊急宿泊費を提供しました。
参照:https://bigissue.or.jp/2020/06/20063001/

◎「おうちプロジェクト」の立ち上げ
米国コカ・コーラ財団から助成を得て、住まいのない人、住まいを失いそうな人を対象に賃貸住宅の初期費用や家具家電を最大30万円(途中から25万円)支払い、住まいの確保を応援する事業を2020年8月から開始しました。ビッグイシュー基金が事務局となり、東京・大阪で18の協働団体を窓口に、1年間で200世帯の支援を目標としました。
※6月末に申し込みが目標の200世帯に達したため、新規申込受付を終了しています。
参照:https://bigissue.or.jp/2020/08/20080701/

◎年越し大人食堂、ゴールデンウィーク大人食堂の開催
大型連休の期間中、東京で複数の支援団体による食料配布&相談会を開催しました。2021年5月の開催時には、特に外国人の方の参加が多く見られました。
参照:https://bigissue.or.jp/2021/05/21051402/

上記のように、民間ネットワークでの支援が広がった1年だったと感じています。
基金への相談数はおそらく東西事務所ともに過去最高だったかと思います。精査していませんが、この間、東京は100件/月、大阪は40~70件/月で推移しています(いずれも延べ数)。
ネットワーク連携により対応できることが広がった事もあって、これまでのメイン層だった中高年の男性に限らず、若い男性、女性や外国籍の方からの相談ケースもありました。

 その他、特別定額給付金の受け取りや、最近では新型コロナウイルスワクチンの接種など、公的施策の利用をサポートする上で行政窓口との情報交換や連携もしました。
 また、基金の母体組織である有限会社ビッグイシュー日本では、宣言やテレワークの影響で売り上げが減少したことを受け、販売者に直接利益が還元される形での通信販売を呼びかけました。
現在も3か月区切りで申込を受け付け、この売り上げから毎月、ビッグイシューの販売者へ現金の給付や販売者へのPCR検査費用の拠出などをしています。
参照:https://www.bigissue.jp/


今後の活動として考えていること、また行政への働きかけ、提言として考えていることはありますか?

 当面は、緊急対応のモードが続くように感じています。入居をサポートした方の継続的なフォローの必要も続くと見越しています。
 この間、住宅政策的側面からの困窮者への支援施策が極めて限定的だったように感じています。 まずは「おうちプロジェクト」の事業をしっかりとやり遂げ、具体的な提言や、今後の活動につなげたいと考えています。
 また、元々の基金の活動で特徴的だった、 ホームレスの人、市民が寄り集まって時間を共有する場と機会(各種のクラブ活動や、大阪ホームレスクリスマスパーティなど)が、現在感染予防のため開催出来ていません。 今後中長期的には、ボランティアはじめ市民の方が直接参加可能な場をどういう形でつくっていけるか、が活動のカギになると考えています。


にほんごサポートひまわり会

斎藤裕子さん

にほんごサポートひまわり会の活動の概要を教えてください。

毎週土曜日に、地域在住外国人のための3つのクラスを開いています。
 1. 10時~12時:子育て日本語サロン(外国人が子ども連れで日本語を学べる場)
 2. 13時~17時:宿題教室(外国ルーツの小中学生、高校生の日本語及び教科学習のサポート)
 3. 19時~20時45分:日本語教室(外国人の日本語学習のサポート)
上記のクラス以外にも、平日の放課後に要請のあった学校へ行って、外国から来た子どものための日本語及び教科学習のサポートをしています。


コロナ禍での活動の状況はいかがですか?

1. にほんごサポートひまわり会では、緊急事態宣言中は、教室は休講に、学校への訪問サポートは休止にしました。利用者及びボランティアの方々の反応は、「休講になるのは残念だが、感染拡大防止のためにはやむを得ない」というもので、当会としても苦渋の決断でした。

2. もっとも、当会としても可能な限り、これまで通り、利用者をサポートしたいと考え、ZoomやSkypeが利用可能な利用者に対しては、オンラインでグループ別に日本語や教科の学習をしました。
 また、利用者に向けてZoomの使い方の勉強会を開き、その一環として、Zoomを使った発表会を行いました。例えば、「今どきの大衆演劇」、「イスラムの話」、「ミュンヘンの日本祭り」、「お琴と三味線」、「インドネシアの竹楽器の紹介と演奏」、「防災クイズ」などをテーマに発表会を催しました。
 参加者からは、「コロナで休講にならなければ、Zoomにチャレンジすることはなかったと思う」、「Zoomで顔を合わせていたから、休講でもモチベーションを保つことができた」という感想があり、その点はとてもうれしく思いました。

3. ただ、一方で、オンラインで実施した日本語教室等の利用者からは、「オンラインもいいけれど、やはり対面で学習したほうがよくわかる」との意見もありました。また、外国ルーツの小学生に学習のわからないところ(例えば、割り算の商の立て方)をオンラインで説明するのはとても難しかったです。

 さらに、そもそも、Wi-Fi環境がなかったり、ガラケーしか持っていなかったり、スマホやパソコンを使いこなす技術が不足していたり、オンラインは好きではないなどという理由から、利用者全員がオンラインに参加することはできませんでした。利用者みんなが参加できる方法を見つけるのは、なかなか難しい状況であったため、オンラインで参加できない利用者に対しては、相談や質問については、個別にメール、LINE、電話で対応しました。


 今後の活動予定を教えてください。


 現在、緊急事態宣言解除されたため、体調管理・マスク・消毒・換気・三密に十分に配慮したうえで、教室活動及び学校へ訪問してのサポートをいずれも再開しています。
 引き続き、感染対策には十分に配慮したうえで、利用者の方々を全力で支援できるように一丸となって頑張っていきます。