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会報誌CANVAS NEWS

【CANVAS NEWS】2022年8・9月号

会員誌「CANVAS NEWS」

2022年8・9月号 誌面

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メールインタビュー全文

寝屋川市民たすけあいの会

冨田昌吾さん

 

「CANVAS NEWS」8・9月号では伝えきれなかった話題をいくつかご紹介します。

1.社会貢献賞の受賞、2.ネットワーキング、3.台風被害からの再建、4.コミュニティフリッジという4つの題材を取り上げます。(編集委員:神野 武美)

  
・第16回大阪商工信金社会貢献賞「地域貢献の部」受賞

 この賞は、「持続可能な社会の実現のために地域貢献に取り組む団体や社会課題の解決というミッションを最優先に社会性と事業性を両立させた事業を顕彰し、その活動を支援する」という目的で2007年から実施されています。第16回の今年度は、第1部の「地域貢献の部」で、大阪ボランティア協会の推薦を受けた「寝屋川市民たすけあいの会」などが受賞し、9月に表彰式が予定されています。
 同信金のホームページによると、「たすけあいの会」の受賞理由は以下の通りです。
 「地域の困りごとをみんなで解決していくことから始まった団体。『お互い様』の気持ちを大切に、支援する側・支援される側の垣根をなくすことで、『自分は相手のため、相手は自分のため』に思いやる風土の醸成に貢献している。貧困問題・要支援問題を抱えた障がい者等が多く暮らす地域に密着した活動は、寝屋川市になくてはならず、今後ますますの発展と他エリアへの波及が期待される」

 
・ネットワーキング
 「たすけあいの会」の原点は、大阪ボランティア協会の地域ビューローとしての活動でした。最初に取り組んだのが、重い障害をもつ子どもとその家族へのボランティア派遣です。当時は、公的な支援制度は極めて不十分で、住民同士で解決していかなければならない状態でした。ボランティアらは、勉強会や会合を重ね、「たすけあいホーム」という拠点をつくり、それを基にして1978年に「たすけあいの会」が発足しました。
 その活動は、障害者や高齢者の「地域ケア」をどう進めるのかを課題としていました。専門家や関係施設と連携するなどいろいろな人の力を借りるというカギとなるコンセプトが「ネットワーキング」でした。
 「ボランティア元年」と呼ばれた阪神淡路大震災の1995年を経てボランティアが脚光を浴びるようになり、1998年には特定非営利活動促進法(NPO法)が施行され、「たすけあいの会」も、2001年にNPO法人を設立(2010年に任意団体と統合一本化)します。2000年代になると、介護保険法、障害者の支援費制度、障害者自立支援法などの制度の整備が進み、元々のボランティア活動と制度に基づく事業など、組織のあり方も変わってきました。様々な矛盾を抱えながら「何とかなる」という思いで「創造的な取り組み」を模索してきました。会の発足から44年が経ち、現在は3回目の世代交代期に入っています。長く続けてきたボランティアが高齢化し、運営メンバーは若返り、多世代のスタッフを運営を担っています。事務局長の冨田昌吾さんは「スピリットを引き継ぎつつ、どうして、活動の継続性を社会情勢、地域情勢もあわせてやっていくのか、試行錯誤の毎日」と話しています。
  
・台風被害、立ち退きからの再起台風被害、立ち退きからの再起
 2018年9月4日の台風21号で「たすけあいの会」の建物が倒壊するなどの被害が出ました。しかし、延べ630の人・団体から総額20,187,453円の寄付と募金があり、被災障害者支援の認定NPO法人ゆめ風基金からも500万円の救援金をもらい、それでも不足する「ぼちぼちはうす」の再建資金として近畿ろうきんから3500万円を借り入れました。
 被害は、大家さんから借りていた5つの建物ほぼすべてに及び、さらに道路拡幅に伴う立ち退き問題という難題も加わりました。2020年春から、本格的に立ち退き、収用についての話い合いを進め、「たすけあいの会」は、2021年4月から寝屋川市長栄寺町5番1号の土地を30年(最大49年)の事業用定期借地権契約を地主さんと結ぶことで活動や事業を継続できるようになりました。その後の工事では、自分たちでできることは自分たちでやりつつ、新設の建物と、元大家さんから譲り受けた旧の建物を活用して活動しています。
 それは、多くの方からの有形無形の支援と応援がなければ、活動の再建は困難だったかもしれません。単なる障害福祉サービス事業所ではなく、これまでのこの地域での活動実践に対する期待の大きさがそれを可能にしたと言えます。
  
・コミュニティフリッジ
 コミュニティフリッジは、「食べずに捨てられる食品や食材を無くす」というSDGs(国連持続可能な開発)のターゲットの一つです。欧米では、公共の場に大きな冷蔵庫を設置し個人や飲食店などが不要な食べ物を入れて、だれもが持ち帰ることができるそうです。日本では、岡山市の「北長瀬コミュニティフリッジ」が2020年に立ち上がり、全国各地でも動きがあります。フードロスを無くす意味のほかに、貧困問題への対処として食べ物がある人とそれに困っている人をつなぐ「フードバンク」の役割も期待されています。
 寝屋川コミュニティフリッジは、「北長瀬」のノウハウを活かそうと2021年11月に開設されました。「北長瀬」は地域限定をしない形で運営していますが、寝屋川という小さな地域でどう実践するのか、福祉色の強い「たすけあいの会」の取り組みですから、どうしても、生活困窮者支援の色合いが強くなります。内部でも利用対象者を広く浅くするのか、狭く深くするのか、という課題が議論されてきました。また、フードロス解消のための商品を提供するように企業に働きかけていくのか、個人に広く呼びかけていくのかのバランスをどうとるのかも課題です。現在は、食べ物を提供するフードプレゼンターも、それを利用する人も登録制で運営しています。実際に運営を開始してみると、利用希望者がスマホを持っていないなど、システムを十分に運用できる環境が無いという想定外の問題も起こり、その都度の対応を考えながら運用しています。今後は、商品の登録管理を充実させ、多くの方が参加できる仕組みづくりを目標に利用者の拡大を図っていくとしています。

虹色ダイバーシティ

村木真紀さん

・虹色ダイバーシティの活動概要

 虹色ダイバーシティは、LGBT等の性的マイノリティとその家族、アライの尊厳と権利を守り、誰ひとり取り残さない社会の実現をめざす認定NPO法人で、LGBTQなど、性的マイノリティに関する社会課題を可視化するための調査研究、そのデータを元にした社会教育事業を展開しています。
 
・プライドセンター大阪について
(1)設立の経緯

 元々メンタルヘルスや経済の状況がよくないLGBTQが、コロナ禍でさらに傷ついている状況に鑑み、その回復を支援するため、当法人において、2022年4月にプライドセンター大阪を開設する運びとなりました。プライドセンター大阪では、居場所づくりや相談事業を行なっています。
 
(2)個別相談

 個別相談では、アイデンティティの悩みや周囲の人へのカミングアウトに関するものもあれば、医療や経済問題など多種多様なご相談が寄せられています。
 今現在は、相談枠が1週間に2枠ですが、すぐに埋まってしまう状況です。特に、関西圏からのご相談が多い印象です。相談方法は、対面かオンラインから、利用者様のご都合の良い方法を選んでいただいています。
 利用者様からは、日々感謝の言葉をいただいておりますが、最近では、LINE相談のニーズが高まってきていると感じておりますので、よりLGBTQの方の支えになれるよう、LINE相談を増やす等についても積極的に検討を進めていく予定です。
 
(3)誰ひとり取り残さない社会の実現のために一人ひとりができること

 皆さまの身近にもLGBTQの人は必ずいます。是非、性別記載欄や無意識の男女分けに目を向けてみてください。必ず、新たな気づきがあるはずです。
 また、LGBTQに関するニュースを見かけたら、是非ポジティブな感想をつけてシェアしていただければと思います。

 
(4)LGBTQ図書、情報発信局について

 プライドセンター大阪では、上記のほか、LGBTQに関するミニ図書館も運営しています。LGBTQに関する本、LGBTQに関するイベントや団体紹介を置いたり、街に向けた発信として、窓に虹の映像を投影して、夜に外から見えるようにしたりしていますので、是非、お立ち寄りください。

 
・おわりに

 当法人においては、プライドセンター大阪も一つの軸に、今後とも、地域のNPOや事業者とつながり、LGBTQ支援のエコシステムの構築を進め、LGBTQであることで生きづらさを感じることのない街づくりをしていきたいと思っています。