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会報誌CANVAS NEWS

【CANVAS NEWS】2022年12・2023年1月号

2022年12・2023年1月号 誌面

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メールインタビュー全文

C・キッズ・ネットワーク 大森節子さん

 ・創立したのはいつですか? また、そのきっかけとミッションは何ですか?

 1997年消費生活アドバイザーの資格を持つ主婦3名が子どものための消費者教育の教材を作りたいと立ち上げました。当時、学校ではお金の教育はタブー視されていました。しかし、金銭教育だけでなく食品添加物の多い食べ物や環境悪化が問題視されるようになり、子どものころから自分自身の事、地球の事などを自分自身で考える子どもの教育が必要だと思いました。
 すべての人間は生まれてから死ぬまで消費者として生活するにもかかわらず、学校教育でも社会教育でも系統だった消費者教育は実施されていません。そのため若者のカード破産や、高齢者が悪質商法の被害に遭い大切な老後の資金を失うことなど、消費者被害が後を絶ちません。消費者問題は社会情勢とともに日々変化し、専任の研究グループが組織されていない学校教育や社会教育の現場では、タイムリーな対応が困難な状況です。
 そこで、NPO法人C・キッズ・ネットワークは、消費者被害と問題点を調査研究し、対象者に応じたテーマごとの分かりやすく楽しい消費者教育の教材やプログラムを研究開発しています。そして、開発した教材や教育プログラムは、消費生活センターや生活協同組合などと連携して、学校や地域への出前講座に活用しています。

 
・ホームページを見ますと、出前講座が盛んに開かれ、それには、専門的な知識が必要です。講師の方々はどのような経験を積まれた方ですか? 講師料は必要ですか?
 消費生活アドバイザーや専門相談員、ファイナンシャルプランナー、環境カウンセラー、省エネルギー普及指導員、司法書士、教員資格などの資格を持つものが中心で現在46名。女性が中心ですが、男性もいます。
講師は、消費者関連の有資格者が多いですが、それぞれのテーマごとにチームを作り、法律の改正、社会の変化に対応するようにプログラムの見直しを行うとともに必要に応じて練習会を実施しています。また、改良内容や新規内容については例会で紹介し、チーム外のメンバーの意見も反映させています。プログラム開発から講師までを行うので、深い学びとなっています。
 消費生活センターなどの依頼で指導者養成講座や地域のサポーター養成講座も開催しています。国民生活センターなどの相談員や行政職員の研修の講師も担当しています。
なお、講師料は依頼先から頂いています。近隣は1講座1万円と交通費程度。講座時間や参加人数、遠距離などにより追加料金が発生します。
  
・子どもに焦点をあてた消費者運動と見受けました。小学生だと、私どもより、スマホなどは長けていると思いますが、契約などは、法律もかなり難しいと思います。どのような点に工夫されていますか?
 子どもへの消費者教育がスタートですが、現在は全ての年齢で講座を実施しています。子どものうちから段階的に学び、身につけてほしいと思っています。スマホなどは確かに子どもの方が使い方はたけていますが、一方、危険性の問題、長時間使用問題などは十分理解できていないため、その辺りを伝えています。
契約の言葉は難しいですが、スーパーでの買い物も契約です。低年齢では実際にお買いもの体験をするなど、対象年齢に合わせたプログラムを実施しています。
 新たに成年年齢となった18歳19歳では、親の目に見えないスマホの利用の仕方から被害が増えています。自分事としてとらえてもらえるよう実際のスマホ画面のように広告画面を出してチェック点を伝える、SNSで募集がある高額バイトに応募するとどうなるかなど多くの事例から法律の規制、対処法を学べるように工夫をしています。
若者が人生のスタートで悪質商法のトラブルに遭い、多額の借金を抱えたり、人間不信になったり、犯罪者になってしまわないように、「受け子になってしまった話」「マルチ商法」「通販トラブル」「家を借りる」「お金を借りる」などの内容を分かりやすい紙芝居やロールプレイ、クイズなどを取り入れたPPT(パワーポイント)を使った出前講座を実施しています。また、学校などで活用して頂けるようにDVDを作成し販売しています。
  
・消費者問題は幅が広く、「お試し定期購入」とかの詐欺的商法対策のみならず、環境や健康への配慮、不動産取引とか、食品添加物や成分がアレルギーを引き起こすなど食の安全性とか広範に及びます。ネットワークとしては、この広い課題にどう取り組まれていますか?
 前述のように、チームごとにプログラムをリニューアルしています。「お試し定期購入」については、スマホの画面をスクロールしながら紹介するようなPPTが分かりやすいと好評です。不動産取引や食品添加物などもテーマや対象者に応じてプログラムに反映させています。「子どもの安全」という乳幼児期の子どもの生命を奪うような事故を防止するプログラムも、毎年子育てサポーターからの要請があります。時代の要請とメンバーの意欲により新規開発、改良が行われています。最近ではSDGsのプログラムが開発されています。

フォロ 湯上俊男さん 里中和子さん

・主な活動内容について教えてください。

 フォロでは、子どもたちが安心して居られる場所、子どもたちの自主性を大事にできる場所になるようにとの思いで、フリースクールを運営しております。
 子どもが望む過ごし方ができるような環境作りに注力しており、例えば、ゆっくり寝ることもあれば、テレビゲームや勉強をすることもありますし、魚釣りやギターを弾いたり、スケートボードをしたりすることもあります。
 
・いわゆる野外活動のような活動もあるのでしょうか。

 先ほど、ご説明した魚釣りでは、当法人のスタッフや、ボランティアの方と一緒に、子どもらを南港の海釣り公園へ引率したり、もっと大きい魚を釣りに行こうということで、淡路島に車で行ったこともあります。山へキャンプに行くこともあります。
 
・活動方針についてのモットーを教えていただけますでしょうか。

 当法人では、大人が完全に活動内容等を用意するのではなく、子どもたちの発案で、子どもとスタッフが協力して、活動を進めていくことを大切にしております。
 活動費についても、単に参加者の親から頂くだけではなく、例えば、フォロで自分たちで作ったお菓子を食べたい人に食べてもらって利益を出したり、不要になった物を集めてフリーマーケットに出店したりして、自分たちの活動に使うお金は自分たちで作ることを考える機会を得てほしいと思っています。
 私たちとしては、なにより、子どもが自由に、自ら考え、行動して、成長できる機会や場を作っていくことが重要だと思っています。大人の側から何かを強制するということは全くありません。
 
・子どもたちの自主性を大事にしている理由について教えていただけますでしょうか。

 子どもたちが自ら考え、自ら選択していかないと、子どもたちの幸せにつながらないと思っています。例えば、いくらお金があろうが、自分自身で選択した道でない場合には、幸せでないこともあると思います。ですので、子どもたちには、自ら考え、将来を選択していってほしいと思っていますし、私たちはそういった環境を提供したり、様々なサポートができればと思っています。
 また、当法人では、大人が子どもを評価しないということや、子ども同士を比較しないということにも注意を向けています。私たちとしましては、「その子が幸せになってほしい」と思っていますので、そのためにはその子が何を求めているのか自分自身で向き合う必要があると思いますし、その際、大人が子どもを評価したり、子ども同士を比較することは必要ないと思っています。子どもたちには、あくまでも自分が何をする必要があるのか、何を我慢する必要があるのか自分で考えてほしいなと思っています。

 

・参加者の両親との関係性についてはいかがでしょうか。

 不登校の子を持つ親同士が気軽に話し合える場を提供することや、相談に乗ることも非常に重要な活動と考えています。
 当法人では、親の会(ほっとサロン)も開催しており、現在、Zoom(ウェブ会議)と対面の両方で開催しています。
 不登校の子を持つ親は、どうしても、将来への不安や学校とのかかわり方、家族間で意見の相違があったりと日々不安が募っている状況であることが多いです。親の会では、この場限りにしていますので、話してもよいですし、話さなくてもよい、聞きたいことを聞いていい、ということにしています。
 不登校の子を持つ親同士だと、共感できることも多く、共感ができれば安心できると思います。安心できれば、両親も視野が広がるようになりますし、両親の気持ちが楽になると、子どもの気持ちも楽になっていくと思います。

 

・今後、どういったことに力を入れていきたいでしょうか。

 フォロとしては、変わらずにいることに努力が必要だと思っています。今のフォロの良さをずっと守っていきたいと思っています。
 子どもたちの自主性を尊重し、子どもたちがどのような選択をしようとも、サポートをして、居場所を提供し、新たな環境で活躍するための支えになれるよう努めたいと思います。