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会報誌CANVAS NEWS

【CANVAS NEWS】2023年2・3月号

2023年2・3月号 誌面

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メールインタビュー全文

なにわ語り部の会 富永孝さん

・なにわ語り部の会の活動の目的を教えてください。

 なにわ語り部の会は、会員相互が民話や童話の「語り部」として、年齢や性別に関係なく、男女が共に一人の人間として能力を発揮でき、会の運営や意思決定の場に参画できる環境であることを基本に活動します。具体には、ボランティア活動を通じて、民話や童話を次の世代に伝承していきます。そのため、会員一人ひとりが「語り部」としての口承文芸を磨き、すべての生命ある人たちに、民話や童話を語り継いでいきます。

 

 ・コロナ禍での影響があれば教えてください。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、会として今まで経験しなかった大きな打撃です。それまで定期的に開催されていた図書館や障がい者施設、高齢者施設の「おはなし会」がすべて中止になりました。小学校や中学校の「おはなし会」も準備していたのに開催されませんでした。定例会も総会も、全てが中止になる中で、会報の自宅発送や少しでも集まれる機会を模索し、区民センター小ホールなどを利用しての「定例会」や「つどい」を徐々にに開催しました。それが出来たのも「大阪市ボランティア活動振興基金」の助成を受けていたこそ、できたと思っています。

 現在、コロナ禍の中でも図書館では人数制限や事前予約などの措置を講じて「おはなし会」は再開されています。まだまだ以前のような活動にはなりませんが、「いつでも どこでも お話を!」が会のモットーなので活動が全面的に再開された場合の準備を怠らず「語り部」としての口承文芸を磨いています。

 
・昨今、アニメや絵本等、新しいものが続々と発刊されていますが、民話や童話ならでわの魅力を教えてください。
 アニメや絵本は、子どもの成長には欠かせないものと思っています。特に幼児期の絵本教育は、視覚や聴覚を養います。絵本やアニメを通じて、幼児がお話に触れる習慣がなければ、民話や童話を聴く力も生まれません。民話や童話の良さは、想像を超える楽しいストーリーです。現実でない物語が、聴き手に空想や想像の楽しさが生まれます。昔話は、ほとんどが一話完結で、最後はハッピーエンドです。そして、一つひとつのお話が、聴き手に伝えるメッセージを持っています。人と自然と動物が、時空を超えた展開に子どもも大人も新たな感性を育てるのです。民話や童話には、その時代を生きた人たちの楽しさや悲しみ、怒りや喜びがあります。それを語り手が、目に見える形でわかりやすく語ることにより、子どもたちや大人がお話の世界に入っていきます。そのためには、子どもの成長にあったおはなし探しが重要です。ほとんどのお話が、楽天的でリズム感があります。子どもたちは大人と違いデリケートな耳を持っています。語り手と聴き手の子どもたちが一体となった時、子どもたちは民話や童話の良さを知ります。語り手のお話を耳から聴くことが、子どもたちの素晴らしい感性を養うことに繋がると思います。
  
・民話や童話を読むのではなく、語りを聞く事の魅力を教えてください。
 私たちはたくさんの人々に語りを届けています。語りを聴いてくれるたくさんの人たちに生きる勇気や楽しさを届けています。「人間に与えられた生命及び、その生命活動を生き生きさせること」が語りにあると思います。私たちの活動のはじまりは、大阪赤十字病院付属大手前整肢学園です。自由に身体を動かすことが出来ない子どもたちが、私たちのお話に反応し喜ぶ笑顔が原点です。今の時代を生きるすべての人に、民話や童話の中の喜びや楽しさを届け、それを感じ取れるのが、語りを聴くことの魅力だと思っています。

トゥギャザー 別府一樹さん

・障がい者が自立するには「収入があがること」が大切であり、「みんなで作ってみんなで売ろう」「売れるモノづくり」という考え方が確立されたのは、どのようなきっかけでしたか?

 「みんなで作ってみんなで売ろう」は、2001年のトゥギャザー設立当初以来のスローガンです。設立のきっかけは、全国の障害者福祉事業所の商品を販売するイベントが梅田スカイビルで開催されたことです。創設者で初代理事長の中條桂は当時、梅田スカイビルの社長でした。その時、全国の障害者福祉事業所の代表者や担当スタッフから「障がい者の作ったものが売れない」「障がい者の収入が少ない」といった生の声を聞かされました。中條は、梅田スカイビルの社長を退任した後にトゥギャザーを設立しました。
 
・障がい者福祉作業所や障害者施設が作った「いいモノを売る」のがモットーだそうですが、そうした作業所との関係はどのように構築されましたか?

 スタッフの多くは、元々障害者福祉事業所に居た者たちで、関係の構築はそれほど難しいいものではありません。トゥギャザーは、岸和田市にあった「セルプショップぶなの森」(全国の障害者福祉事業所で作られた商品を販売するお店)の協力があって設立されたので、取引関係はスムーズに構築できました。当時、セルプショップぶなの森の店長をしていた上月は現トゥギャザー理事です。最初に述べたように梅田スカイビルで全国の障害者福祉事業所の商品を販売するイベントを開催した際に中條と上月が出会ったことが設立に繋がりました。
 
・販売を引き受けている福祉作業所や施設は何ヵ所くらいありますか?

 現在、取引がある事業所は、イベント販売等を含めると関西圏を主に北海道から沖縄まで全国約300か所です。パンやお菓子は、主に就労継続支援B型といわれる全国各地の障害者福祉事業所で障がい者がサポートスタッフと一緒になって製造しています。送料が800円を超えるなど、輸送費が高騰しているため、お菓子などは単品ではなく、詰め合わせのギフト商品として掲載するように工夫しています。
 トゥギャザーでは、商品開発も手掛けています。お菓子の開発やモノづくりセミナーは、辻学園調理製菓専門学校の先生方に、オンラインショップの活用法は人気カフェの店長さんにご協力いただいております。多くの事業所が製造している地域の特産品(例えば京都なら西陣織であったり)などの木工品や雑貨がご購入のオススメです。商品の魅力を知ってもらえるように、オンラインショップでも、食品類とこうした非食品類のバランスを考えてホームページにアップしています。
  
・ノーマライゼーションをかなえる住まいづくりとして「建て貸し方式」というのは興味深いです。福祉系のNPOが建物建設の企画に取り組むことはあまり聞いたことがありません。

 創設者の中條桂は積水ハウスのOBです。障がい者の仕事と暮らしを支援することが大切であるといった観点から、設立当初から積水ハウスの協力のもとに、障がい者グループホームの事業に取り組んでいます。当法人から建て貸し方式の仕組みを積水ハウスに提案し、その後、協議を重ねてより良い形に進化させています。例えば、土地のオーナーが土地を提供がしやすくなるように協力金を設定したり、福祉事業所が、グループホームの建設を反対されないように地域住民を1軒1軒回って説明をしたりです。
「建て貸し方式」は、建設にかかる事業所の初期費用が抑えられることがメリットです。さらに、自分たちの建てたいグループホーム、例えば、車いす対応とか、庭や畑を併設して地域住民の方々が訪れやすいグループホームにするとか、そんなことができることです。
 障がい者グループホームは全国的にみても数が足りません。私たちが取り組んでいるグループホームづくりは、全国からのご相談も多く、セミナーの開催需要も増えて2021年度は年間13回開きました。ただ一番の課題はスタッフの問題です。グループホームは暮らしの場であり、運営は年中無休で、スタッフには夜勤が伴います。法整備も十分とは言えない中で、専門性の高いスタッフを確保することに苦労がたえません。

 

・企業関係の役員も多いように見受けましたが、その良かった点は何ですか?

 役員及びスタッフに、企業系の人と福祉系の人がいることで、企業からの仕事を福祉に繋ぐきっかけができると共に企業と福祉の間にある理解の壁を解決する糸口を見出すことが出来ることです。例えば、モノづくりの点において、企業が求める数と福祉事業所が製造可能な数の間には桁が違っていたりします。福祉事業所の現状を知らない企業の方もたくさんいらっしゃるので、見学会も開催しました。また、福祉事業所側も品質や数量の確保に対しての認識が甘かったりすることが多く、法人内に企業出身者と福祉事業所出身者がいることで、それぞれの考え方や現状を法人の内部でぶつけ合うことで打開策を見つけ出すせることが良かった点と考えています。