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会報誌CANVAS NEWS

【CANVAS NEWS】2023年12月・2024年1月号

2023年12月・2024年1月号 誌面

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社会課題の解決に向き合うNPO メールインタビュー全文

特定非営利活動法人NPO政策研究所 直田春夫さん

 

1.NPO政策研究所はいつ、どんなきっかけで設立されましたか?

 政策研究や政策提言を志向するシンクタンクとして、1997年に木原勝彬氏等が任意団体「NPO政策研究所」を設立、2009年9月にNPO法人格を取得しました。当初は奈良市内に拠点を置いていましたが、現在の所在地は大阪市中央区内です。
 木原氏は、社団法人奈良まちづくりセンターを設立し、長らく奈良町の歴史的まちなみの保全、まちづくり活動を続け、1984年に当時の市民活動団体としては例を見ない社団法人という法人格を取得して、行政(奈良市等)の事業委託を受けるなど、今で言う「協働」や「政策提案」を行ってきました。その後、奈良まちづくりセンターを辞し、まちづくり事業だけではなく、市民・行政の両面にかかわる総合的な「地域政策」研究が必要と感じて、特に国や自治体への政策提言を行う団体として立ち上げたのが「NPO政策研究所」です。
 設立当初から自治体からの受託も多くあったので、NPOや市民活動に関する政策だけでなく、まちづくりに関する総合的政策の調査・研究、提言も行っています。法人化以降は「コミュニティ・シンクタンク」あるいは「市民シンクタンク」を自称しており、持続可能な地域社会づくりはもちろんのこと、地域=コミュニティに根ざし、地域・市民のエンパワーメント、ローカルデモクラシー・ローカルガバナンスの実現、市民自治の確立を目標としてきました。
 
2.事業活動の理念と、実際に取り組んでいる業務の内容を教えてください。 
 まちづくりのめざす方向としては、当初から「持続可能な地域・社会づくり」を掲げていて、これは今風に言えばSDGsの実現ということになるかと思います。
 ○持続可能な社会の実現:身近な生活の場でのサステイナブル・コミュニティづくりの推進、持続可能な都市の実現に向けた政策提言活動に取り組んでいます。
 ○分権社会の実現:サステイナブル・コミュニティの形成を通じ、地域における住民自治システムの確立や、ローカルガバナンスの確立に貢献します。
 ○地域デモクラシーの実現:市民とNPOの政策形成力の強化と、サステイナブル・コミュニティの推進に関わる市民やNPO、事業者、行政、議会を巻き込んだ、開かれた政策協議の場づくりを推進します。
もう少し具体的に言うと、事業としては以下の柱があります。
① 自治体(市町村)が「自治基本条例(まちづくり基本条例)」を策定するに際して、理念、原則、盛り込む事項等をアドバイスすると共に、参加型の策定プロセスを提案する。
② 地域における総合的な協議会型の仕組みづくりの支援を、地域住民と行政双方に対して行う。
③ 男女共同参画の考え方に基づいた地域防災の研修や計画づくりのアドバイスを行う。
④(行政対象の)参加、参画と協働の指針やガイドライン作りの支援を行う。

 
3.NPOといっても特定非営利活動法人だけでなく、一般社団法人、一般財団法人などがあります。そういうところからはどんな相談が来ていますか? 

 市民公益活動団体や公益法人からの相談はそれほどありませんが、2010年には、新潟県のNPO法人から、市民の政策形成力を高めることを目指した連続講座(講義&ワークショップ)の依頼があり、実施しました。愛知県のある市の青年会議所から、持続可能なまちづくり活動やまちづくりの中間支援組織の立ち上げの方策等のアドバイスを求められ、現地へ何度も訪問し活動にも参加しながらアドバイスを行いました。

 

4.聞くところによると、地方自治体の自治基本条例策定のお手伝いなど自治体関係の事業委託が多いようですが、どんな依頼で、どのような支援をしていますか。また、依頼を受けて感じる自治体やNPOの現実のとしてどのような問題がありますか?

 前にも述べたように、多くの自治体から自治基本条例策定の支援の依頼があります。自治体としては、兵庫県A市、T市、N市、I市、奈良県のY町、Ko町、Ka町等で、先行して実施した自治体の話を聞かれて相談が持ち込まれたり、当方が開催した講座等を聴講してもらってつながりができたり様々です。
策定プロセス全般にわたって支援を依頼されることが多いです。初期段階では、行政職員に対しての自治基本条例の必要性や意義、内容の概略に関する研修を行います。そして、策定プロセスの全体設計を行い、自治基本条例への理解を深める働きかけを職員参加・住民参加のもとで行います。同時に、策定審議会の運営支援や住民ワークショップの企画実施等を行います。条例の条文自体を提案することもありますが、最近は行政職員と審議会委員に原案を作成してもらうようにしています。
また、条例が議決された後も、フォローアップを続けることも多く、研修をはじめ、条例の柱である「参画と協働」や「地域自治」についての仕組みづくりの支援を行います。
 自治基本条例の策定支援において最も重視していることは、自治の基盤となる「情報公開・共有」「参画と協働」「市民公益活動の支援」「地域自治システム」の構築など、最新の知見や動きを反映させて、住民のための自治基本条例としていくことです。そのために行政職員と住民が「自分たちがつくる自分たちの地域のルール」であるという意識(と実態)を持てるように工夫しています。また、自治基本条例(まちづくり基本条例)策定に際して最も大切にしていることは、当該自治体におけるローカルデモクラシーが実現するよう仕組みづくりを支援していくことと考えています。
 最近は、NPOが中間支援組織として、自治基本条例作成等の政策形成支援を行う(受託)という事例も各地で見られるようになってきましたが、NPO政策研究所はその先鞭を付けたと言えるかもしれません。

 

5.近々予定している講座や事業があれば教えてください。

 NPO政策研究所では、自主事業として、設立当初から、「持続可能な社会づくりフォーラム」や「政策形成力強化のための研修講座」、「自治基本条例学習会」等を開催してきましたが、2016年から、『市民自治講座』として、今危機に瀕している民主主義と自治を立てなおし、市民の自立と自律、自主と自治、歓待と共生(連帯)を回復していくために、市民が小さな空間(講座、語り合う場)を足がかりとしていくことを志向しています。
 今年度も、第Ⅶ期として、「地方自治のこれから」をテーマに2023年9月から講座を開始しており、2024年1月20日(土)14時からドーンセンターで、まとめの講座を開催します。「これからの地方自治を考える-持続可能な地域社会づくり」をテーマに、岡本仁宏関西学院大学名誉教授、宋悟・IKUNO多文化ふらっと事務局長ら総勢6人による議論を行います。NPO政策研究所のホームページからお申し込みください。
 2カ月に1度、会員が交替で世話人となる読書会も実施しています。また現在、コミュニティ・シンクタンクに関する研究も行っています。設立間もない時期に一度、研究会を立ち上げ報告書にまとめたのですが、それから社会状況も官民の関係も変化したので、現在や近未来にふさわしいコミシンの在り方を模索中です。

特定非営利活動法人大阪市難聴者・中途失聴者協会 松尾博文さん

 

1.どのような活動をしていますか?

 幼少時、または人生途上に「聞こえない・聞こえにくい」障害を持った仲間たちが親睦を深めつつ、生活上の困難や悩みを克服し、社会参加を目指して活動しています。

 

2.団体設立の経緯を教えていただければと思います。

 大阪府難聴者協会が昭和58年に結成され、親睦だけではなく、難聴者の社会参加や福祉の向上を目指すとして活動を開始しました。会員は府下一円から結集していた。福祉向上の要望を大阪府だけでなく、政令市にも提出するには、「大阪市協会」が必要となりました。平成元年6月18日大阪府協会員の中で、大阪市に居住の会員達で「大阪市難聴者協会」が設立されました。
それ以後、協会名は「大阪市中途失聴・難聴者協会」と変更があり、平成18年4月法人化時に「特定非営利活動法人大阪市難聴者・中途失聴者協会」と3度目の名称変更をし、今に至っています。

 

3.コロナ禍で大変だったこと、活動に変化はありましたか?
 月1度の例会開催がことごとくキャンセルせざるを得ず、活動が休止また、縮小してしまいました。また、大阪市から委託の要約筆記者養成事業の実施に講座からクラスターを出さないように細心の注意が必要で、担当者達が疲弊してしまいました。

  
4.聴覚障害者のコミュニケーション方法について教えてください。
 聴覚障害者のコミュニケーションには、人それぞれですが手話、指文字、読話、口話、筆談、補聴器などの方法があります。
手話は、手や体の動きなどでコミュニケーションを取る言語です。
指文字は、50音を指の動きで言葉を表現する方法です。
読話は、相手の口の動きを読み取って言葉を理解する方法です。
口話は、自分の声を出して言葉を伝える方法です。
筆談は、文字や絵などを書いてコミュニケーションを取る方法です。
補聴器は、聴覚を補助する機器ですが、万能ではありません。
聴覚障害者は、話す相手や場面によって複数の手段を使い分けています。
 また、最近ではスマホ、タブレットを使った文字認識アプリ(例えば)UDトーク等人気テレビドラマの「サイレント」で使われて認知度が上がりました。例えば、買い物などでお店に行って店員さんに、UDトーク等で喋ってもらったり、病院で医者にUDトークを使ってもらう事で話が分かります。
 ただ、ここで気を付けて頂きたいのですが、私たち難聴者は声を発することはできますが、声のゆがみから文字認識が正しく表示されません。店員さんには文字認識アプリにしゃべって頂き、難聴者の話を聞きとってもらえない時は自らがホワイトボードなどに書くということになります。

 

   

5.聴覚障害者の方は普段の生活において、どのようなことに困りますか?また、その際、どのような支援があると助かりますか?
1)呼びかけや生活音に気付けない時がある
聴力が非常に低い、または全くないため同僚や上司からの声による呼びかけに気付くことができない、また、放送などの大事な情報を聞き逃してしまう。歩行中に背後から来た車の音や自転車のベルなどにも気付くことができないため、命に係わる問題になることがあります。

2)複数人での会話が難しい
聴覚障害のある方は、一対一のコミュニケーションであれば問題なくこなすことができる場合でも、複数人の会話になると必要な声だけを聞き取ることが難しいケースがあります。

3)周囲の空気に合わせてしまう
聴覚障害のある方は話すことができても、聞こえづらさや聞き間違いがあるため、雑談などフランクなやりとりであっても、周囲の人が聞こえにくいことを忘れてしまい、健常者と同じような対応をしてしまうことがあります。
こんな時、聴覚障害のある方は自分から「配慮をしてほしい」と言い出すことができずに、その場の雰囲気を壊さないように気持ちを飲み込んでしまい、結果として情報を手に入れることができないなどの不利益を被ってしまうことがあります。

4)会話が聞こえにくいことで他人の会話に割り込んでしまうことがある
聴覚障害のある方は複数人で会話した場合に、会話の内容が聞こえにくく、話し終わるタイミングや、話題が変わった時などが分からず、他の人の会話に割り込んでしまい、厚かましい人だと思われてしまうという面もあります。

 ここ数年、コロナ禍のこともあり、マスクをされていますので、これも私たちにとっては苦痛の一つなのです。声がこもって聞き取りにくい、口の動きがわからない等ありますので、出来ましたらマスクをずらして口元を見せて頂ければ、ありがたいです。

 

 

6.生まれつきの聴覚障害者ではなく、幼少期以降に聞こえに障害が生じた人に限定されてい支援をされている理由はどういったことでしょうか。また、生まれつきの障害でないための特有の悩みや違いのようなものはあるのでしょうか。
 生まれつき重度の聴覚障害があり、言語獲得が難しかった、いわゆる「ろう者」は、健聴者と異なるユニークな存在として、手話とろう者の世界が言語と文化の視点からも捉えられ、そのろう者の世界をユニークな存在として脚光を浴びています。
 しかし、ろう者以外の聴覚障害者、つまり中途失聴者や難聴者は、一般的に健聴者と同じく日本語を基盤とした音声コミュニケーションを行っています。そのために、聞こえないろう者と聞こえる健聴者との狭間で見えなくなっているのが中途失聴者・難聴者なのです。それ故にろう者とは違った悩みや支援、施策を必要とします。

 

7.聴覚障害者の方が地域社会で生活するために、別のNPOや福祉団体等と何か協働されていますか?
  一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の近畿ブロック10協会と共に「きこえの懇談会」を毎年1回協働し、開催しています。また、大阪府中途失聴・難聴者協会と交互に福祉大会を開催して交流、情報交換を行っています。

 

8.聴覚障害者の方の生活についてですが、聴覚障害者の方が働くということにおいて、企業の方が留意することは何かありますか?
 一人一人、難聴者の聞こえの程度を把握し、企業内研修でその人に合う対応を周知し理解を得るよう努めることだと思います。

 

9.聴覚障害者の方が地域社会で生活していくためには、聴覚障害者の方同士の交流も大切かと思いますが、健常の方との交流もまた重要な要素かと思います。健常の方との交流は何かされていますか?
 協会全体として地域社会との交流は残念ながら実施したことはありません。コロナ前に他団体主催の商店街祭りに誘われて、商店街の一角でバザーをさせて頂いた事があります。

 

10.団体では、どのようなボランティアが関わっているのでしょうか。ボランティアしたいという方がいらっしゃればどのような方法で関われますか。
 主に聞こえに障害がある私たちにとって、意思疎通に文字によるコミュニケーション支援が必要です。現在、要約筆記者は福祉サービスの担い手として専門職という位置づけで、その役割を担っておられます。協会の専門部「要約筆記部」は、その方々の勉強の場でもあり、私どもと共に、ノーマライゼーション社会実現に向けて支援するボランティアでもあります。まずは、要約筆記者養成講座の受講をお勧めいたします。

 

11.今後の展望について教えてください。
 仲間を増やす事が協会を強くします。そのために「聞こえない・聞こえにくい。つまらない。面白くない」と悩まずに、同じ、障害や悩みを持ちつつも、同障の友を得、いろんな行事に参加し、日々を明るく生きている人がいることを啓発したいと思っています。