お知らせ

寄付する・会員になる

ボラ協を知る

ボランティアする・募る

学ぶ・深める

会報誌CANVAS NEWS

【CANVAS NEWS】2024年6・7月号

2024年6・7月号 誌面

f0d6c9cb0a5702edbcebf5567d4b36bf-1719288171.jpg
0d3e4ca8c160bee7b32721a2d30761ab-1719288182.jpg
55fb8c8a369a481d4849bf88de19f919-1719288186.jpg

社会課題の解決に向き合うNPO メールインタビュー全文

認定NPO法人ノーベル 太田祐輝さん

1. 2009年の立ち上げから15年が過ぎ、事業を幅広く展開されている印象をうけますが、今年5月に大阪ボランティア協会のパートナー団体に新規登録された理由を教えてください。

 認定NPO法人ノーベルは、2009年に大阪で初めての訪問型病児保育を開始して、以降15年でエリアを拡大しながら、 約20,000件以上の訪問型病児保育を実施してきました。コロナ禍においては、一時的に利用が落ち込んだこともありましたが、再び子どもの感染症も多くなり利用者は今も拡大傾向にあります。ノーベルとしては、今もまだ本当に病児保育が必要な方に十分に届けられていない、と感じており、今後もより多くの人に病児保育のことを知ってもらい、より多くの人に活用してもらうことで、親御さんの負担を軽減していきたいと考えています。そのためにぜひさまざまな形でお力を貸していただきたいと思い、今回新規登録をいたしました。

 

  

 
2.訪問型病児保育事業を立ちあげた当時はまだまだニーズはあっても実際に利用する方は少なかったのではないかと思うのですが、どのように事業を定着させていかれたのですか。

 広報活動も積極的に行っていますが、親御さん同士のコミュニティなど口コミで広まり定着した、という要因が大きいのではないかと感じています。ノーベルでは、安心・安全の保育を徹底しております。お子さんが病気のときは親御さんも不安ですので、少しでも安心して預け、働いてもらうために、朝・夕方の引き継ぎなども綿密に行い、 保育中は細かく記録をつけ、保育中の経過報告なども丁寧に行っています。
 こうしたことからご利用者様の満足度が非常に高く、毎年95%以上の方が「満足」とアンケートにご回答いただいています。もちろん、不備をご指摘いただくこともまだまだ多く、オペレーションや体制も日々改善しています。

 

3.子どもの体調の変化があったりして病児保育はとても神経を使うと思います。スタッフのケアや相談はどのようにされていますか?

 訪問病児保育のお仕事は、日によってお預かりする件数も異なるため、シフトに入っていても実際には保育が無いといったケースもあります。そうした場合、スタッフが事務所などに集まって、日頃のケースの共有やちょっとした悩みごとの相談など、同じ立場のスタッフどうしで普段の保育を振り返りながらお互いに気づきを得る機会を設けています。毎回集うスタッフは異なり、ときには本部のスタッフが入ることもありますが、お互いに話し合える雰囲気作りを大切に場作りをしていて、お互いにケアし高め合える場として、機能しています。大勢のスタッフが集まる日などは、時折CANVAS谷町の施設を活用させていただいております。

 


  

4. 2030年に向けてのvision bookを読ませていただきました。そこにはまだまだ両立がしんどい母親の現状があり、今までの病児保育だけではない「子どもを産んでもフツーに両立できる社会」に向けたミッションが揚げられていました。その具体的でわかりやすい内容に本気度が伝わってくるとともに実現に向けて明確な道筋も見えているのだろうと感じました。活動にとってとても大切なvision作成に向けてどのように議論を重ね作り上げていったのか教えてください。

 ビジョンの作成にあたっては、ノーベルが目指す両立ってなんだろう、というところから、丁寧に議論を重ねました。そこで「みんなで両立をつくりなおす」ということを掲げ、納得して働けること、納得して預けられること、時間・心身ともに余白があること、が両立には必要ではないか。さらに、その両立は、担い手がイキイキとしていること、両立環境を「社会全体」で良くしていくこと、という土台があって成り立つのではないか、と考えました。こうして作り上げたビジョンはいまも事業を行う上でとても大切な指針になっていますし、ビジョンの実現のため、病児保育だけでなく、子育て家庭をトータルサポートする新たな事業「子育て家族のまるごとサポート」も始まっています。
 

5. 最後に大阪ボランティア協会に期待することを教えてください。

 大阪ボランティア協会様に今回パートナー登録させていただいたことで、より訪問型病児保育を広め、さらに保育の担い手の輪を広げるといったところで、お力を貸していただけると大変嬉しく思います。また、担い手のケアや学び、交流といった場面で、キャンバス谷町など活用させていただけるとありがたいと思っております。 

 

公益財団法人チャイルドライフサポートとくしま 大塚芳紘さん

1.貴財団を立ち上げられたキッカケについて質問です。HP上で約7人に1人貧困状態と拝見し、比率の多さに驚きました。そうした状況におかれている子どもたちを支援したいと思われたキッカケ、または出来事を教えていただきたいです。

 十数年前から海外の子どもへの寄付を続けており、40歳になったら子どもに携わる活動をおこないたいと考えておりました。ある時に日本の子どもの貧困率が13%という数値を見て、子どもの貧困がもたらす社会的影響・教育格差・経済格差は将来の日本に直結する大きな問題として捉えなければならないと感じました。将来の日本を考えるうえで、未来ある子どもたちの健全な育成が重要であると考えています。ただ、実際に私自身は教育などの専門知識を持っておりませんでしたし、自分自身が直接活動するよりも、いま実際に活動されている団体の支援をおこないたいということ、また、こども支援団体のなかには活動資金の確保が難しいという団体もあるとのことでしたので、財団法人を設立し、NPO法人・任意団体の活動のサポートをおこない、間接的に子どもの支援をおこなっていこうと思いました。

 

2.助成プログラムには、毎年何団体ほどの応募があるのでしょうか?

 応募は90団体~100団体程度です。(地元徳島県と大阪府からの応募が多いです。)

 

3.助成対象は子ども食堂から不登校、特別な支援を必要とする子どもを支援する団体まで、幅広くお見受けしました。様々な団体を支援する中で、大塚さんが感じられることがあれば、教えてください。
 徳島県においては、約3年前からこども食堂同士のネットワークが立ち上がっており、支援物資の確保、活動に関する情報共有が盛んにおこなわれています。もちろん、その活動はとても重要なことであると思います。ただ、そのネットワークが子ども食堂同士のつながりだけなのは勿体ないと感じています。社会課題には複数の課題が絡み合っていると思います。子どもの貧困という課題で考えると、子どもだけでなく、その世帯の収入が増えていかなければ、子どもの貧困問題は解決できないと思います。その場合、こども食堂単体ではなく、親御さんの就労支援をしているNPO法人とも連携が必要ではないかと感じます。もっといろんな団体が連携することで、社会課題解決のスピードアップが図れるのではないかと感じています。

 

  
4.多くの団体を助成される中で「設立してよかったな」と思われた瞬間はどういった時ですか?
 設立から4年程度の団体で、まだまだ当法人の助成金をご存知ない方のほうが多いと思います。私自身、仕事をしながらの運営ということもあり、助成金対象団体様への訪問もできていない状況です。今後は、団体様のお話を伺いながら、いまの課題は何なのかを認識したうえで、より現場に即した助成事業を考えていきたいと思います。
    

5.例年「子どもの笑顔はぐくみプログラム」の申請時期は、7月〜8月とお伺いしております。今年はいつ頃の予定でしょうか?
 2024年7月17日(水)~2024年8月30日(金)を予定しております。募集要項はホームページに掲載いたしますので、この期間にご確認ください。