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会報誌CANVAS NEWS

【CANVAS NEWS】2024年10・11月号

2024年10・11月号 誌面

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社会課題の解決に向き合うNPO メールインタビュー全文

NPO法人 大阪府民環境会議 山口 百合子さん  

1. 「魅力ある地域づくりや地域の活性化」に関わる人たちを支援しようと思われた経緯について、お聞かせください。

 私と家族は阪神淡路大震災で被災しました。自宅は全壊でした。突然のことに、私たちはこれからどうなるのか、元の生活に戻れるのだろうかという不安でいっぱいでした。そんな中、見ず知らずの全国の方々が支援してくださいました。その支援がその後大きな心の支えになり、いつかお返しがしたいとずっと思っておりました。どうやってお返しをしようと考えて、例えばボランティアに参加──。これは実際には、体力もなく仕事もあるため難しいと思いました。では、NPOを作って社会貢献活動に参加する──。しかし、知識もネットワークも持たないので、どうすればいいのかわかりませんでした。そしてある時、社会貢献活動に詳しい友人から「財団を作って社会貢献する方法がある」と聞き、地域を元気にする方々を応援することで、感謝の気持ちをお返しできるのではないかと、財団を設立することにしました。

 

     

2.助成金の交付先を選定する際、どのような基準や選考プロセスを設けられていますか?

 年に1回、今年は819日から1122日まで、助成金の公募を実施しています。そして、12月に審査会を開き、助成先を決定します。審査の基準について細かくは申し上げられませんが、申請書の事業内容が地域を元気にするかどうか、弊財団の小さな応援が地域の活性化に役立ててもらえるかを大切にして、選考しています。

 

  1. 3.支援を継続される中で、浮き彫りとなった地域課題があれば教えてもらえますか。

 たくさんありますが、なかでも、こどもの貧困問題・高齢者の孤立が課題です。居場所のないこどもたちへの居場所作りや、ひとり暮らしの高齢者への支援が必要だと思います。

  

4. 貴財団が商業施設(Bears)で行われているスペース提供の取り組みについてお尋ねします。近年どのような団体にスペースを提供されていますか?また、今まで開催された中で印象的だったイベントがあれば、教えてもらえますか。

 財団の活動には、助成金の交付と活動機会提供事業という2つがあります。後者の活動機会提供事業が、門真市にある商業施設「Bears(ベアーズ)」でのスペース提供です。財団に申請していただき(これは通年、受け付けています)、その内容が地域を元気にする活動であるかどうか、公共性があるかどうかを判断し、ふさわしい活動と判断しましたら、スペースを無償で提供しています。

 近年では、ママさんブラスバンド「Largo」のファミリーコンサートや、大阪府下の福祉事業所で作られた商品を販売するバザーを行いました。他にもパナソニックさんの「”AKARI”アクション」の活動で、世界の無電化地域にソーラーランタンを贈るため、不要な本やCDを回収し、リサイクル募金する寄付ボックスを設置しました。

  

  

5. 7月に交流会/懇親会をCANVAS谷町で開催された記事を拝見しました。6年ぶりに対面で開催されたようですが、感想をお聞かせください。また、全参加者で行われた『私たちがつながってできることは?』についてのグループワークでは、具体的にどのようなアイデアが出たのでしょうか?

 7月の交流会では、CANVAS谷町の会議室をお借りできましたこと、大変感謝しております。コロナの大流行もあり、久しぶりの対面開催でした。オンライン交流会よりももっと、参加者各々の熱い思いを全員で共有できたと思います。

 大阪ボランティア協会の理事長早瀬昇氏の基調講演では、とても身近な問題、地域社会に参加する私たちが大切にしたい意識について、身近な事例と併せてお話しいただきました。また、過去の助成団体の中から3団体に、弊財団の助成から事業や活動が拡大、発展していることを報告していただきました。3団体の成果報告後、自分の団体に置き換えて、これから参考にしたいところがたくさんあったと、多くの感想をもらいました。

 参加団体はそれぞれ規模や活動の内容は異なりますが、抱えている困りごと、活動していく中での悩みは共通点が多く、それについて共有できたことも良かったと思っています。グループワーク『私たちがつながってできることは?』では、新しいアイデアというより、私たちがつながることで、それぞれが対峙する様々な問題の解決策を共有し、その課題を乗り越え、活動の発展に繋がっていくことを皆さんが実感されました。とても意義のあるグループワークだったと思います。

  

   

6.今後の展望についてお聞かせください。

 今後も今の活動を継続していきたいと思っています。これからも地域を元気にするための活動をしている団体を応援していきたいし、たくさんの方にいろいろな社会貢献活動を知ってほしいです。多くの方の参加が地域をより元気にしていき、参加することで、自分も元気になれるということを実感してもらえるよう、活動していきたいと考えています。

 また、交流会を通して、団体同士のつながりを作るお手伝いもしていきたいです。

公益財団法人 熊西地域振興財団 熊西 乃里子さん

1.大阪府民環境会議(OPEN)は、どんな団体ですか?

 2003年設立で、04年に特定非営利活動(NPO)法人に認証されました。現在、公益社団法人大阪自然環境保全協会、認定NPO法人地球環境市民会議、グリーンコンシューマー大阪ネットワーク、Word Seedなど15団体が加盟するネットワーク組織です。大きく分けて、ごみ問題などに取り組む「資源循環型社会経済」と自然環境の問題に取り組む「自然保全活動」という2系統で構成されています。

OPENはOsaka Peoples Environment Networkの略称で、誰にでも開かれ広く参加を呼びかけるという意味を込めて、「衣・食・住・遊・職」の日常生活を重視したライフスタイルを提案し、大阪を持続可能なまちへと変身させることを目指しています。

 

  

2.活動例を紹介してください。

 「資源循環型」の活動例としては、大阪・天神祭(例年724日、25日開催)の会場で繰り広げる天神祭ごみゼロ大作戦があります。2017年にスタートしましたが、20年はコロナ禍で中止。21年、22年は「グリーンリバー大作戦」と銘打って大川沿いの清掃を行い、23年から再開しました。実行委員会は大阪産業大学准教授でなにわエコ会議会長の花嶋温子を委員長に、大阪市、大阪ボランティア協会など16団体で実行委員会を構成し、大阪メトロやタクマなど企業の協賛金約600万円で運営しています。来場者は725日晩の奉納花火、船渡御を中心に約120万人。大作戦は学生や若い社会人などボランティア約800人で運営されています。

今年は、天神橋から上流の桜の宮橋付近までに、ごみを分別収集するためのエコステーションを20か所設置。ボランティアスタッフを8人ずつ配置し、全国から集まる約800店の露店にあらかじめリユース食器を無料で配布し、使用後に回収するという方法です。リユース食器は、角型の皿2種類と大小のカップの計4種類で回収率は毎年9割を超えます。

  

  

 加えて、街に無料給水所を増やそうという運動にも取り組んでいます。自販機などで買うペットボトルを減らしてマイボトルを持ち歩くことを習慣づけることがねらいです。木陰とベンチと給水所がある風景を創り出すという市民によるまちづくりを実現するのが目的です。2024年、天神祭前の719日に、地下鉄天満橋駅の地下通路に約4時間にわたって給水器を設置し約120人が利用し、アンケートも実施しました。そのうち「日々マイボトルを持参」は53人でした。欧米で増えているボトル給水+直飲みで高さを変えて車いすに対応するといったタイプを使いたいという人が30人もいました。現在、吹田市や豊中市、西宮市、尼崎市の中核都市の連携で、公共施設(駅含む)での無料給水場所がありますが、大阪市内での公共施設や各地でも設置を増やすよう働きかけていくつもりです。

 

 自然保全活動の取組みとしては、イネ科植物のマコモを耕作放棄地の水田などで栽培を広げる活動です。日本の気候は、水田と里山のおかげで穏やかに守られてきました。ところが、国の減反政策で農業後継者はほぼいなくなりました。このままでは、雑草が生えて荒れ放題になる水田の環境を維持する策としてマコモの栽培を進めているのです。マコモは地下茎で増え、成長すると2㍍くらいになります。中国や台湾では高級食材になり、大阪府能勢町で栽培したマコモは、水田を維持する方に株分けして各地に広がり、その中にはお茶や石鹼などに加工し、マコモ関連の商品化をされている方もいます。現在は茨木市泉原が母田で、自然保護団体と農力隊を結成し、神社や調理師学校の関係者も参加されています。113日には、マコモ葉を使った枕づくりの講習会をクレオ中央で開きます。生活の中から環境との共生の大切さに気づくきっかけになればと幸いです。