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【抗議声明】森会長、二階幹事長の発言に抗議します!!

2021年2月10日
社会福祉法人大阪ボランティア協会

 2月3日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森 喜朗会長が、同委員会の臨時評議員会 で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言し、国内外から強い非難の声が上がりました。さらに翌4日に行われた記者会見でも、発言を撤回・謝罪はしたものの、記者の質問に反発する 姿勢から、体裁を整えただけで実は事態を理解し深く反省しているわけではないとの反発が広がりました。その結果、オリンピック、パラリンピックを支えようと応募したボランティアの中に辞退者が続出する事態となっています。
 これに対して、8日、自由民主党の二階俊博幹事長は、「そんなことですぐ辞めると瞬間的には言っても、協力して立派に(大会を)仕上げましょうとなるのではないか」と発言。活動への参加辞退を申し出たボランティアの苦渋の決断を真摯に受け止めたとは思えない発言で、さらに批判が広がっています。


 そもそも、オリンピック、パラリンピックのボランティア募集には定員の2倍を超える応募がありましたが、これは、アスリートに共感し、その素晴らしい競技を支え、さらに国内はもとより世界各国から集まると期待されている観客が気持ちよく応援・観戦できる環境を作りたいという思いを持つ人々が数多くいたからです。
 しかし、その思いを受け止め、共にオリンピック、パラリンピックの成功を目指すべきパートナーであるべき組織委員会の最高責任者が、オリンピック精神に反する前時代的認識を持っていたことが明らかになりました。ボランティアの活動意欲がそがれ、苦渋の決断であったでしょうが、森会長の姿勢への批判を表明するため辞退者が続出したのは当然のことでしょう。感染症対策への不安から続出していた辞退とは別次元の「抗議の辞退」です。
 これに対し二階幹事長は、「どうしてもお辞めになりたいということだったら、また新たなボラン ティアを募集、追加せざるを得ない」とも発言。応募者が定員の2倍に達したことを踏まえてか、追加募集をすれば、ボランティアは容易に集まるという認識なのかもしれません。阪神・淡路大震災や 東日本大震災をはじめとした多くの経験を経て、我が国にもボランティア活動が根付き、その力が社会に認識されてきたこの時期に、国政の中枢にいる人物から、ボランティアの思いを理解されていないと思える、こうした心ない発言がなされたことを、私たちはとても悲しく、残念に受け止めました。

 そもそも、ボランティアの活動意欲は共感で支え、高められるものです。それゆえ事の発端となった 森発言に象徴される問題への反省と改善への努力がなければ、参加を辞退するボランティアはますます増えてしまいかねません。まず、組織委員会が多くの人々の共感が得られる体制を整えるべきであり、二階幹事長は、追加募集の話をする前に、まずこの点を課題として言及するべきでした。
 ボランティアは募れば集まり活用できる安上がりの労働力ではありません。共感に支えられた自負心から、多彩な活動を生み出し、個々に応じた温かい対応を尽くし、不測の事態にも臨機応変に対応する創造的な人々です。また、今回問題となっている女性蔑視や多様な意見のぶつかりあいを良しとしない 発想とは真逆のものが、ボランティア精神、市民参加の基本です。ボランティア活動の広がりにより、人権が尊重され、創造性に富む社会が生まれるのは、こうした特性をもつからです。
 この活動の特性を活かすためには、ボランティアの内発的な活動意欲を高められるよう、まずは組織委員会をはじめとする推進者側が襟を正すべきです。

 大阪ボランティア協会は、市民がさまざまな能力を創造的に発揮するためのエンパワメントを推進する立場から、今回の森会長と二階幹事長の発言に断固抗議するとともに、ボランティアの「参加の力」 を信じるすべての人々とともに、ボランティアの本質的な理解を拡げるための運動に取り組む決意を、 ここに表明します。