万博ボランティア レガシーを形に
2025年4月13日から10月13日までの184日間、2025年日本国際博覧会(以下、万博)が大阪の夢洲で開催された。近年のオリンピック・パラリンピック(以下、オリパラ)や万博のようなメガイベントでは、ボランティアが運営に参加するのが標準的な仕様となっている。
大阪・関西万博ボランティア(以下、万博ボランティア)の場合、会場ボランティア(以下、会場ボラ)と大阪まちボランティア(以下、まちボラ)各1万人の定員に対し、5万5634人(最終値)が応募。倍率は2.8倍だった。応募理由で一番多かった回答は「万博に関わりたかったから」で、全体の4割を超えた。反響の大きさを受け、主催者は定員を増やし、会場ボラ1万4000人、まちボラ1万6000人を当選とした。24年6月に当選通知があり、同年夏に面談、同年秋から冬にかけてオンデマンド研修を実施し、完了した人が活動シフトを予約できた。会場ボラ1日4時間、まちボラ1日3時間(リーダーは6時間も可)、会期中に5日間以上(月1回程度)活動することが条件で、参加しやすいデザインになっていたといえる。
筆者は、個人的に万博ボランティアに応募し、幸運にも当選。会場ボラとまちボラの両方に参加することができたため、万博のボランティアマネジメントをボランティア目線で体験する貴重な機会を得た。活動を通じて、特に感心したのはオンデマンド研修の手法と内容だった。
まず手法だが、基本研修(必修)と配置別研修(選択必修)があり、各3時間程度の内容を少しずつ視聴できるよう、項目ごとに数分単位に分割してあった。一つ視聴すると完了マークがつき、次の視聴ができるといった仕様で、理解度テストが時々入り、ゴール目指して達成していくおもしろさがあった。
内容では、基本研修のうち「ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)」がよくまとまっていて感心した。D&Iの考え方、文化の多様性、性の多様性、世代・ライフステージの多様性、心身機能の多様性という五つの視点でまとめ、「特別な誰かの話ではなく、私たち一人一人の話」であることや「多様な人が集まり、お互いを受け入れ認め合う社会をつくるのも私たち」というメッセージをしっかりと伝えていた。3万人近くのボランティアに対し、D&Iの基礎的な考え方を伝えられた成果は大きい。当協会はもとより、ボランティア推進機関は、ボランティアを説明する際にD&Iの視点を取り入れ、目指す社会像を語ることが大事だと気づかせてもらえた。
当協会は21年6月以降、(公社)2025年日本国際博覧会協会(以下、博覧会協会)や大阪府・大阪市万博推進局(以下、万博推進局)から、万博ボランティアのあり方について相談を受け、助言や提案の機会を得てきた。並行して、万博にどのように関与すべきか、その向き合い方を組織内で協議してきた。最終的にまとまったのは、大阪で万博をやるならば、「万博ボランティアの創意工夫が生かされるような運営がなされること、および終了後もレガシーとして、市民活動の更なる活性化につながること」を目指すべきだ、という考えだった。
24年1月以降は、大阪・関西の環境団体、国際協力団体、中間支援団体など12団体が中核となって、「SDGs万博市民アクション」を結成し、当協会は「市民参加・教育分科会」に参画した。この分科会の立場も生かしつつ、万博の主催者らと良好な関係を築き、万博ボランティアのあり方に、一定の影響力を与えられた成果は大きい。一方で、万博ボランティアのレガシーを誰がどう受け継ぐのか、そのあり方についての協議は道半ばである。そのことに気づいた者が市民社会や自治体、民間企業らに呼びかけて、レガシーを形にしていかねばならないと考える。
2026.02
万博ボランティア レガシーを形に
編集委員 永井 美佳
2025.12
「復興」とは何か
編集委員 磯辺 康子