ボラ協のオピニオン―V時評―

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市民活動は自治の営み~本誌発行で目指すもの

編集委員早瀬 昇

 本誌は、この2026年6・7月号で創刊60周年を迎えた。1966年7月に「月刊ボランティア」として創刊。大阪ボランティア協会の創立は65年11月だから、その9カ月後に創刊されたことになる。
 やがてNPOや企業市民活動に関わる記事も増えたことから、2003年1月に誌名を『ウォロ』に変更。この60年間で版型もB5判、タブロイド判、AB判、A4判と変更し、また月刊から隔月刊に変えるなどの変遷をたどりつつ、本号で通巻567号となった。

 本誌の発行には、元新聞記者、大学教員、市民活動施設職員など16人のボランティア編集委員が参画。企画・取材・執筆・校閲を担い、発送時も多くのボランティアが参加している。市民自身の手で運営する情報誌となっている。
 もっとも本誌発行は協会財政にとって重荷の一つとなっている。25年度決算で事業費は誌面デザインの業務委託費や印刷・発送費など約295万円。編集担当者などの人件費が約432万円。計約727万円を要している。
 一方、収入は購読料約278万円、協賛広告料約48万円、共同募金助成金120万円、これに25年度は多額の相続寄付のご支援も含め寄付金が約192万円あり、合計約638万円。大口の寄付があったにもかかわらず、89万円の赤字となっている。
 ここ数年、協会全体でも赤字状態が続いている。しかし、以下のような思いから、収支改善に努めながら発行し続けてきた。

発行目的の第一は「市民の自治活動としての市民活動」の多彩な姿を発信し続けることだ。
 協会創設後、最初の事業は日本初であったボランティアスクールの開講だが、その初回のテーマは「ボランティア活動と民主主義」。まだ国語辞典にボランティアという語が掲載されておらず、奉仕活動と呼ばれることが多いなか、ボランティア活動は市民自らが社会を築く主体となる自治の営みだという捉え方の普及を進めてきた。
 実際、さまざまな市民活動を紹介する際、単にその実績を報告するだけでなく、活動に市民が関わる意味も伝えることを心掛けてきた。市民が主体的に社会を築いていくことに資する内容であることは、本誌原稿の大原則だ。

 「特集」でも、市民の視点で政策を点検したり、漠然とした「常識」に切り込んだりすることが多い。たとえば、休眠預金等活用制度が求める厳しい事業管理体制の実態報告(20年12月・21年1月号)▽設立が容易だと新設が増える一般社団法人の運営上の法規制の厳しさを、特定非営利活動法人と比較した解説(21年4・5月号)▽「ボランティア」という呼び方を避ける動きの背景を探る(24年10・11月号)――などだ。
 さらに、市民活動の「論理」を組み立てることも目指してきた。

 1988年7・8月合併号の特集「『論理と倫理』組み立てないとゴリラにも勝てないよ!?」では故小田実氏(注1)のインタビュー記事を掲載した。権力も財力もない市民が社会を変えていくには、論理と倫理を磨かねばならないと熱っぽく語られた。この点も本誌が目指すものだ。「ボランティア活動は公平性にとらわれず個々に応じられるからこそ温かい活動となれる」と喝破した故大森彌(わたる)東大教授(注2)のインタビュー記事(86年1月号の特集「個々に応じることこそ、V(ボランティア)の命」)は、その典型だ。
 SNSが普及した今、情報やオピニオンの発信媒体は雑誌形態にこだわらなくてもよいかもしれない。しかし、特集、連載、時評、漫画など多様な内容をパラパラと読み進める「紙」やPDF版での発行に、当面、こだわりたい。

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