ボラ協のオピニオン―V時評―

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「自前主義」のすすめ

 NPO法(特定非営利活動促進法)がついに成立した。本誌特集でも紹介しているように、その影響は実に大きいが、その影響の一つに市民活動の「総合サポートセンター」創設の動きがある。福祉領域に限定されがちな社会福祉協議会ボランティアセンターに代わって、より幅広い分野をカバーするセンターを作ろうという準備が各地で進んでいる。
 その仕掛け人は大半が自治体。特にNPO法の成立で、活動分野の違いを超えて多様なNPOの法人認証に当たらねばならない都道府県では、NPOのための総合窓口の開設が緊急課題となっている。そこで総合的な市民活動サポートセンターを作ろうというわけである。一九九六年に開設した「かながわ県民活動サポートセンター」を皮切りに、滋賀県、名古屋市などで開設が進み、今後も東京都、兵庫県など各地で相次いで総合センターが誕生する。
 この総合センター開設にあたっては、その構想の段階から、多くの市民活動関係者が参加するようになってきた。「どんなセンターが必要なのか」。センターの利用者の声を反映させようというわけだ。そうした委員会に大阪ボランティア協会から委員を派遣することも多いが、いつも違和感がぬぐえないのがセンターの財源問題だ。
 本来、NPOとはNGO、つまり非営利組織であるとともに、行政から独立した非政府組織でもある組織だ。ところが、そのNPOでNGOな団体の支援機関を作ろうという時、その「センターの運営資金は行政が保障するもの」ということが議論以前の大前提になっているのだ。
 自ら大阪ボランティア協会という民設民営の組織に関わる者として、民間資金を軸に据えたNPO運営の大変さは人一倍よく理解しているつもりだ。
 NPOといえども、一旦、職員を確保したら、何もしなくても人件費などで支出が膨らんでいくのに、何か新しいことをしなければ決して収入は増えない。独立型NPOの運営責任を負うことになると、資金集めの問題はいつも念頭から離れない。
 それに、そもそもサポートセンターなどの「仲介機関」は、事業の成果が見えにくいという宿命を負っている。直接、問題の解決を図るというより、個々のNPOが具体的な成果を上げるための支援を間接的に進めるというのがサポートセンターの役割だからだ。そこで、やはり活動の基盤整備は行政の役割だという主張も出てくる。
 さらに長引く不況という向かい風がある。企業などの寄付は抑制されているし、長期にわたる金利低下で基金利息も減少。その結果、助成財団の助成金も軒並み厳しい。こんな中、行政に財源を期待せずして、センターの運営は立ちゆくはずがないではないか…。ということで、センターの財源を行政が持つということは、自明のこととなってしまう。
 しかし、だ。やはりNPOを支援する機関も、他のNPOと同様に、基本的にその財源は「自前で」調達するべきではないか。そう考える
 というのも、まず機能上の問題がある。NPO支援の基本は運営面での助言だ。中でも財源の確保は最重要課題。ところが肝心のサポートセンターは行政の補助金などで安穏と運営されていて、真に実践的な助言が可能だろうか。助言スタッフは現場で実務に携わる実践家を嘱託で確保するという方法もなくはないが、この場合もセンターの事業企画への反映といった面で迫力不足はいなめない。
 また、行政に財源を丸ごと依存してしまうと、事業に対する客観的評価がなされにくくなってしまう点も問題だ。事業収入や寄付には、事業に対する評価が伴う。価格に見合う魅力を感じさせない事業は受け入れられず、自分の資金が活かされると感じさせない団体に寄付は集まらない。行政丸抱えとなると、このような客観的な事業評価がなされにくい。
 だから、「自前主義」を、というわけだ。もちろん、まったく行政資金を受け入れてはならないというわけではない。たとえば職員の人件費などの管理費は行政が支えるが、事業費は受講料や助成金を申請するといった形でも、随分と状況は改善されよう。 いずれにせよ、市民活動発展のため「自前でも」「手弁当でも」事業を進めるんだ。そんな情熱が核になければ、投入される多額の税金に見合う意味あるセンターが生まれることはないと考える。

市民活動情報誌『月刊ボランティア』1998年4月号   (通巻334号)

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