ボラ協のオピニオン―V時評―

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学生にとっての活動の場 -キャンパスに目を向けてみよう-

編集委員筒井 のり子

 七月だ。大学や短大では、いわゆる前期がもうすぐ終わろうとしている。学生、特に新入生にとってこの数カ月間の大学生活はどのようなものだったろうか。マスプロ授業に失望した人、自分のやりたいことが見つけられない人、学内で親しい人間関係が作れなかった人等、どこか充足感のないまま過ぎてしまった人も少なくないだろう。
 そうした人たちにとって、夏休みは一つの大きな区切りである。自分を見つめなおしたり、思い切って新しいことに挑戦するよいチャンスである。チャレンジには様々なものがあるだろうが、ボランティア活動への参加もその一つだ。
 そこで、今年も各地のボランティアセンターやNGO/NPOでは、夏休みに向けて様々なボランティア体験プログラムやスタディツアーが企画されている。すでに参加者の募集が始まっているものも多い。今年もきっと各地の施設や団体で、互いの人生を彩るような様々な出会いが生まれることだろう。
 ところで、こうした若者のボランティア活動支援に熱心なのは、既存のボランティアセンターや団体だけではない。ここ数年、大学や短大における学生のボランティア推進が積極的に展開されるようになっている。
 その一つは、ボランティアに関する講義やボランティア活動を組み込んだ授業の開設である。全国的な数字としては、平成七年度の七十六大学(短大除く)というものしかないが、現在は倍増しているものと思われる(文部省で把握作業中)。
 これら大学内のボランティア講座を受講したことがきっかけとなり、この夏、ボランティアプログラムに参加する学生もいるだろう。一方、かえってボランティアが遠のいたと感じた人もいるだろう。大学でのボランティア講座の内容評価については、これからの大きな課題だ。
 二つ目はさらに積極的な活動支援として、学内にボランティアセンターを開設する動きである。淑徳短期大学「ボランティア情報室」、神戸大学「総合ボランティアセンター」、関西学院大学「ヒューマンサービスセンター」など、特に震災以後増加している。
 さて、こうした大学側の動きに加えて、最近目につくようになってきたのが、活動主体である学生自身による動きである。
 ここに一冊の報告書がある。東京ボランティアセンター(現・東京ボランティア・市民活動センター)発行の「キャンパスにおけるボランティア活動ニーズ調査報告書」である。
 これは「学生ボランティア活動についての調査プロジェクトチーム」(代表 早稲田大学政治経済学部・長野基)が一九九七年の一月から二月にかけて、都内の大学・短大二百校を対象に行ったアンケートの調査報告だ。ねらいは二つ。「キャンパス」において、どのようなボランティア活動が求められているのかを知ること、また学生たちのボランティア活動に対して学校の支援のあり方を考えるというものだ。
 内容としては、学校における障害を持つ学生への支援、災害時の被災学生及びボランティアへの支援など、主に学校側の支援の現状把握に努めたものであり、キャンパスにおけるボランティアニーズを考えるための一つの材料を提起したといえるだろう。
 特記すべきは、自分たち学生にとって一番身近なキャンパスに注目したという点である。キャンパス内にも障害を持つ人もいれば、改善すべき環境もある。身近なところに、実は普遍的課題が潜んでいるものだ。「Think Globally, Act Locally」ということがよく言われるが、ともすれば地域社会と遊離している学生にとっては、キャンパスこそコミュニティである。そのコミュニティでのボランティアニーズを把握し、それに対応するボランティアプログラムを開発することは、大変重要な視点だろう。最近注目されているキャンパスエコロジー運動なども同様の視点で展開されているものだ。
 海外で活動してもいい、福祉施設を訪問するのもいいだろう、そして、最も身近なキャンパスでの活動があってもいい。ボランティア活動の広さと深さはそんなところにある。

市民活動情報誌『月刊ボランティア』1998年7・8月号 (通巻337号)

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