ボラ協のオピニオン―V時評―

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「JVCA」設立の意味

編集委員早瀬 昇

 「JVCA」。これが何の略かご存じの方は、まだほとんどおられないだろう。これは Japan Volunteer Coordinators Associationの頭文字。すなわち「日本ボランティアコーディネーター協会」の略称だ。ボランティアもコーディネーターも、ともに長い言葉なので横文字を愛称とすることになったのだが、今、現場のコーディネーターらが中心になって、この「JVCA」設立に向けた準備が精力的に進められている。
 「ボランティアコーディネーター」というと、一般にボランティアセンターで働くスタッフの職名として知られる。現在、社会福祉協議会などを中心に全国約三千ヶ所のボランティアセンターがあり、これを上回る数のボランティアコーディネーターが各地で活躍している。
 では、なぜ今、コーディネーター協会なのだろうか。それは、より良いボランティアコーディネートを進めるため、コーディネーター間のネットワークを広げ、また相互の実践交流や研究を通じて専門性を高めるためだ。  この点については理想と現実の間に大きなギャップがある。現実には、コーディネーターは職場の上司からさえ、その仕事の奥深さ、職務の難しさが理解されていない場合もある。「ボランティアの担当なら誰でもできるだろう」と採用されたばかりの職員が担当にされる。当然、少し経験を積むと配置転換されることも多く、コーディネーターとしての専門性向上も望めない。また一人か二人という少人数の職場も多く、研鑚を積む以前に、そもそも経験の伝承もできず、悩みを分かち合う場も少ない。
 しかし、そのような立場にあるボランティアコーディネーターに求められる資質や知識、能力は、実に奥深い。  賃金との交換ではなく、共感や問題意識を支えに活動するボランティアを支えるには、ボランティア一人ひとりの個性や思いを受け止めなければならない。またコーディネーターには、ボランティアとボランティアを求める場や人が、ともに満足する関係を作る役割がある。そこで、鋭い人権意識や多様な価値観を受け止める幅の広さも求められる。さらにボランティアセンターなどには制度の谷間にある問題が持ち込まれることも多く、様々な制度に関する知識が必要になる。実に奥が深い仕事なのだ。
 そこでボランティアコーディネーターや、その資質向上に取り組む推進機関のスタッフが自主的に集い、コーディネーターの専門性確立と専門職としての認知を高める「拠点」として、また同じ志を持つ人々の「ネットワーク」として、協会設立の構想が生まれてきたのだ。  ボランティアが意欲をもって活動できるかどうかは、コーディネート次第で大きく変わる。そこで「JVCA」は日本のボランティア活動推進に大きな役割を果たすものと期待される。
 「JVCA」設立の意味は、これだけにとどまらない。ボランティアコーディネートの形態を広く捉えたことにより、分野や役割を超えて市民の社会参加に関わる多様なスタッフが集う初の全国組織となる可能性があるからだ。
 というのもボランティアコーディネートには、ボランティアセンターなどでの「仲介型」の他に、施設やNPOなどの「受入型」、学校や企業での「送り出し型」などの形態がある。この「受入型」や「送り出し型」の場合、ボランティアコーディネーターの呼称で呼ばれない場合も多く、自らをコーディネーターと自覚していないことも多い。しかしそもそも日本でのボランティアコーディネーター養成は福祉施設や病院のボランティア受入担当者を対象に始まった。実は「仲介型」は後発なのだ。
 そこでJVCAは、「仲介型」以外の場でボランティアに関わる職員もボランティアコーディネーターと位置付け、広く参加を呼びかけている。実際、呼びかけ人の中にも福祉施設や海外協力NGO、環境関係NPOなどの職員、それに企業の社会貢献担当者も加わっている。
 「ボランティアコーディネーター」というキーワードによって多様な場で市民の社会参加を支える人々が集い、その専門性を高める取り組みが始まるわけだ。これは日本の市民活動の歩みの中でも画期的な出来事だと言えよう。
 この「JVCA」設立にあたって、まず八月六日(日)の午後、東京ボランティア・市民活動センターで、「設立準備総会」が開催される。これは来年一月二十六、二十七日、大阪で開かれる全国ボランティアコーディネーター研究集会の際に行われるJVCA「結成総会」のプレイベント。いきなり協会を結成するのではなく、「設立準備総会」で広く参加を募り、議論を重ねた上で、来年一月の設立を目指すというプロセスをとるわけだ。またホームページを立ち上げ、準備状況は、随時、公開されている (http://www11.freeweb.ne.jp/business/jvca/)。「有志」が手作りで進める「JVCA」結成の準備に、多くの関係者の参加が期待される。

★準備総会申し込みはFAX(03-3235-0050)で。東京ボランティア・市民活動センター気付け「日本ボランティアコーディネーター協会宛」と明記のこと。

市民活動情報誌『月刊ボランティア』2000年7・8月号 (通巻357号)

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