ボラ協のオピニオン―V時評―

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JVCC、「参加の力」が活きる社会づくりへ

編集委員早瀬 昇

 来年2月28日(土)、3月1日(日)に開かれる「全国ボランティアコーディネーター研究集会(JVCC)2015」の開催要項が、このほど完成し、参加者の募集が始まった。
 この集会が最初に開かれたのは1994年10月の大阪。終了後、「来年は東京で再会を」と言って全国に戻った参加者たちが、その3か月後、阪神・淡路大震災で、急遽、再会することになる。被災地東部で活動した日本初の災害ボランティアセンター「被災地の人々を応援する市民の会」の応援スタッフとして、交代で被災者の要望を受け止め、ボランティアが活動するプログラム作りに関わったのだ。

 「市民の会」には、のべ2万1千人のボランティアが駆けつけ、4千800件の応援依頼が寄せられたが、経験豊富なボランティアコーディネーターの力で、機動的で創造的な復興応援活動が展開された。そして、この取り組みを経て、ボランティアコーディネーターという専門職の認知度も高まった。
 その後、JVCCは、毎年度、開催されてきたが、来春のJVCCでは新たなテーマ・切り口の分科会が多数設けられ、市民活動で焦点となっている課題が見えてくる。そのいくつかを紹介しよう。

 たとえば、来年度から「生活困窮者自立支援事業」が始まるが、これを市民の参加を得て推進する実践事例を検証し、厳しい暮らしを余儀なくされている人々を地域で支える取り組みを考える分科会。社会制度と市民の活動がどんな関係を結ぶべきかが、事例を通じて検証される。
 今、社会福祉法人のあり方が問われているが、ボランティアの参加を通じて地域住民との関わりを深め、地域全体の社会資源として活動する福祉施設のあり方を探る分科会。ボランティアが単なる無償の人材としてではなく、組織を「公共財」として開いていくカギとして注目されだしている。
 一方、市民活動には特定のテーマを選ぶ活動と共に、自治会などの地縁組織で進められる活動もある。従来、ともすれば「やらされる」感を抱く場合も見られたが、最近、「地域の経営者」としての自負をもち創造的な地域活動を進める事例もでてきた。こうした実践に学ぶ分科会。地縁組織がボランタリーな組織として活躍するインパクトは大きい。

 また、ボランティアの参画をテコに資金確保策である「ファンドレイジング」を進める事例をもとに、市民参加型のファンドレイジング計画を立案する分科会。お金と活動という2つの参加で相乗効果を生み出す取り組みが広がっている。
 これらはほんの一部だ。医療、災害対応、多文化共生、まちづくりなどでの活動推進、企業ボランティアの推進、イベントでのコーディネーション、最近の若者気風をふまえた対応、人材育成、住民コーディネーター、スポーツボランティア、子どもの貧困対策、ソーシャルビジネスとの接点、地縁型活動とテーマ型活動の連係など、2日間に26の分科会が設定されている。開催要項を見ているだけで、市民の参画によって多様な課題が解決される未来が見えてきそうだ。

 このような可能性を感じさせるのは、市民の自主的・主体的な参加がもたらす改革力、いわば「参加の力」を実感できるプログラムばかりだからだろう。
 人々が自発的に問題解決に参加すると、他人事ではないという「当事者意識」が高まる。自らの得手を活かし創意工夫も進む。目標とする夢の共有や同志としての共感により、違いを受け入れ合い、幅広い連携が広がる。自ら取り組もうという姿勢は臨機応変で柔軟な対応を生みだす……。

 そして、この「参加の力」が活きる環境を整えるのがボランティアコーディネーターだ。JVCCは、ボランティアコーディネーターという職名の有無に関係なく、社会活動への市民参加推進を実践している人、分科会に課題意識をもち参加できる人なら、誰でも参加できる。例年200人を超える参加者が集うが、全国の参加者と、市民の「参加の力」向上に関するイノベーションを学び合いたい(申込締切は来年2月6日まで)。

【Volo(ウォロ)2014年12月・2015年1月号:掲載】

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