ボラ協のオピニオン―V時評―

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市民活動における「合宿」の効用

編集委員早瀬 昇

 7月下旬、運営委員を務める日本ボランティアコーディネーター協会の合宿に参加した。全国各地で活動している運営委員は、毎月、関東と関西で交互に開かれる運営委員会に出席する。しかし、旅費の補助がほとんどない状況で、全員が集うことは難しく、一回の会議時間も週末開催とはいえ3時間半ほど。そこで、創立3年目から毎夏、安価に泊まれ、会議室があり、かつ温泉もある……という場を探して、合宿を開いている。土曜の午後から日曜の午前中いっぱい、今年もしっかり議論をし、そして交流も深めた。
 この種の合宿―この場合は宿泊を伴った長時間の会議―は、多くの市民団体が実施している。本誌を発行する大阪ボランティア協会も、毎年11月と翌年3月に一泊創出会議、事業計画会議という1泊2日の合宿を開いてきた。そもそも協会の合宿の歴史を調べると、創設前の1965年7月に能勢の野外活動センターで開かれた第1回「ボランティアリーダーズ・トレーニングキャンプ」にさかのぼる。以来、何度も合宿が開かれ、70年には協会の事業運営を市民参加で進める「参加システム」誕生のきっかけとなった「温心寮会議」が1泊2日で開かれた。76年11月に「一泊拡大企画運営委員会」(翌年から「一泊創出会議」に名称変更)が開かれ、翌年3月に第1回「一泊予算会議」(今の事業計画会議)が始まった。さらに最近は年末に職員合宿も実施している。こうして見ると、協会は合宿をテコにして組織を成長させてきたとも言える。

 しかし、合宿にはかなりの経費がかかるし、参加者の自己負担も少なくない場合が多い。さらに拘束時間も長いのに、なぜ私たちは合宿を開き続けるのだろうか。それは、合宿を開くことが組織とメンバーにとって重要な意味があるからだろう。
 その理由として、まず考えられるのは「活動に節目を作る」ことだ。日々、目の前の活動に追われるなか、組織全体をした発想や中長期的な視点で活動を見直すことがおろそかになりやすい。しかし、ちょっとしたイベントでもある合宿では、少し先を見通した準備がなされ、中長期的な視点で活動を俯瞰する契機となる。  また、いつもは異なるプロジェクトに関わっているメンバーが集うことができれば、組織内の「一体感」も高まる。
 さらに、多くのメンバーがじっくり時間をかけて懸案を検討できることの意味も大きい。もともと合宿では日程調整などの準備が早く、その分、参加率も高くなりやすい。そこで、多くのメンバーとの意見交換で一定の結論が得られれば、その後の「活動を支える土台」を築くこともできる。

 これら組織にとっての意義以上に重要なのが、参加するメンバーにとっての意味だろう。
 会社を意味するCOMPANYの語源は「一緒にパンを食べる仲間」と言われている(注)。食事に誘うことが仲間づくりのテコになることはよくあるが、合宿では夕食や朝食を共にする。そこで仲間意識は当然に高まる。共感でつながり合う市民団体にとって、この点も重要だ。
 さらに入浴での「裸の付き合い」。夜遅くまでの語り合い。それに普段の活動では見られない意外な一面に接することもよくある。会場が温泉や緑豊かな場所などだったら小旅行の趣きもあり、「リフレッシュ効果」も期待できる。合宿の効用は、なかなかに広く深いといえそうだ。
 最近、ちょっと活動がマンネリ気味という皆さん。一度、合宿を計画してはいかがだろうか。もちろん、その合宿がマンネリになってしまわないよう、十分な準備と企画の工夫が必要なことは言うまでもない。

(注)語源由来辞典(http://gogen-allguide.com/ka/company.html)。ラテン語の「com(共に)」と「panis(パンを食べる)」の合成語に、仲間を現す「-y」が付いた語で、「一緒にパンを食べる仲間」の意味からきている。

【Volo(ウォロ)2018年8・9月号:掲載】

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