ボラ協のオピニオン―V時評―

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ダイバーシティ職場としてのNPO

大阪ボランティア協会 理事長牧里 毎治

 当協会の理事長をしていて報酬はどれくらいもらえるのか聞かれることがある。無償であると答えると、な顔をされる人もいる。この際だから、明確にしておきたいが、当協会はボランティア会員の運営参加で成り立っており、理事長は、その会員の代表ということであり、無償無給なのである。年会費も払うし寄付もする。会員の意思を代表して行事や催事のもするし、外部団体の会合でも会員を代表して挨拶もする。会員の総選挙によって選ばれたわけでもないので、会員の意見と総意を正しく反映させているかと問われれば、いささかたる思いになる。
 当協会は、社会福祉法人となっているが、組織内容としてはNPO法人に近い。会員参加型で運営を進めているし、事業といっても啓発活動やコンサル業、広報・出版業などが主たるものなので、直接的に保育や介護などのサービスを供給しているわけではない。市民がボランティアや助け合いなどの活動を促進し広めることを組織的に支援する団体で、インターミディアリ(中間支援組織)という性格がつよい。市民活動を自主的、主体的、組織的にしやすいように環境づくりや制度づくりをするなどアドボカシー(代弁・後援)の機能を果たすことがミッション(使命)であるといってもいいだろう。一枚岩の、目的も同一の組織ではなく、さまざまな社会課題を解決したいとやってくる個人およびグループ、団体、組織のネットワーク型集合組織なのである。

 企業とも行政とも違って、NPOは多様な構成員によって成り立つという特性をもっている。つまり無償のボランティアと有給・有償のスタッフとが混じり合って事業活動をしている組織ということができる。そもそも企業にも行政組織にも、無償・無給のボランティアが参加する習慣も制度も規則もない。かえって、無償・無給の人材をボランティアとして受け入れるとなると、途端にブラック企業、安上がり行政と非難・批判される羽目になる。
 企業や行政との比較で考えてみると、NPOは多様な人材をかす職場であるとともに、多様な働き方を柔軟に受け入れることができる組織であるともいえる。働き方改革の観点からいえば、ワークシェアもワーク・ライフ・バランスも可能な職場なので、フルタイム雇用からパートタイム就労、さらにホームワーク、ダブルワークや、請負型就業もできないわけではない。ダイバーシティな職場でもあるのだ。

 この職場の構成員にボランティアが加わると、さらに〝進んだ〟ダイバーシティ職場になってしまう。とりわけ事務ボランティアの参加の範囲が広がると、一層としてくる。スタッフ職員がやらなくてはならないコピーや情報整理、会員受け付け、会場設営などを無給・無償のボランティアが担当することになると、ボランティアの美名のもとに安上がりな労力として当てにすることにはならないか。あるいは職員の労働時間外や休日の活動をボランティアの立場でという扱いになると、本人の自由な意思での活動(いわば「嫌になれば、いつでもやめられる」こと)が保障されなければ労働基準法に抵触することにもなりかねない。
 実は、ボランティアとスタッフの間には、現場で活動するボランティアの荷を軽くするために、特に日常の事務を特定のボランティアが担当することでグループが成り立つ、という関係があったのだ。経常収支が潤沢になれば、専任の有給スタッフを配置することができるが、弱小零細なボランティア・グループではボランティアが事務局も担っていたのである。

【Volo(ウォロ)2018年10・11月号:掲載】

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