ボラ協のオピニオン―V時評―

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行動者率減るも行動日数増加 コロナ禍のボランティア活動

編集委員早瀬 昇

「ボランティア行動者率が7・9%低下し18・1%に」。8月31日に公表された令和3年社会生活基本調査の結果だ。この調査は内閣府が5年に一度実施しているもので、今回は昨年10月20日に調査された。
 新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の第4波を受けて3回目の緊急事態宣言が出されたのが昨年4月25日。その後、第5波もあり宣言解除は9月30日だった。しかも調査票にはボランティア活動を「この1年間に何日ぐらいしましたか」といった質問があり、コロナの影響を大きく受けた時期のボランティア活動参加状況が示されることになった。
 
 社会生活基本調査でボランティア活動が調査項目になったのは、ボランティア国際年となった2001年から。それ以前は「社会的活動」(報酬を目的としないで、自分の労力、技術、時間を提供して地域社会や個人・団体の福祉のために行っている活動)を調査してきた。
 1996年の「社会的活動行動者率」は25・4%。2001年に「ボランティア行動者率」になって以降は28・9%、06年26・2%、11年26・3%、16年26・0%と続いてきた。多少の増減はあれ、4人に1人以上はボランティア活動に参加していたが、それが21年に5人に1人以下になったわけだ。コロナがボランティア活動に大きな影響を及ぼしたことが分かる。
 ただし、データを分析すると興味深い結果が浮き彫りになった。
 まずシニア男性の行動者率の高さだ。今回調査で65歳から79歳までの男性の行動者率が全世代で最も高く(25・6%~24・7%)、次いで40歳から44歳の女性(24・2%)が続いた。かつては35歳から49歳までの女性のボランティア行動者率が最も高かったが、近年、就業率が高まった女性の行動者率は低下が続いている。
 また、行動者率は低下したが、平均行動日数は増加した。平均行動日数は活動種別ごとに調査しているが、それぞれの行動者数と平均行動日数を掛けたものを合算し、これを全行動者数で割って全体の平均を試算すると、21年は16年の平均(30・7日)より24%も多い38・1日となった。
 行動者率は低下したがボランティアに寄せられるニーズが減少したわけではない。そこで活動できる人が活動日数を増やし、この結果となったと思われる。
 社会生活基本調査は、性別、年代別だけでなく、就業状態、健康状態、人口集中地区とそれ以外など、多様な角度から分析できる。今後、さらなる分析が必要だ。
 
 もっとも、この調査には重大な問題がある。ボランティア活動の範疇から「市民運動、権利主張や政策提言型の運動」などを除外していることだ。
 実は1996年まで調査していた「社会的活動」は「社会奉仕活動」(児童・老人等要援護者の福祉増進のための活動、地域社会・住民の安全確保、環境整備等、もっぱら他人のための活動の色彩の強いもの)と「社会参加活動」(婦人運動、市民運動等、自己を含む社会のための活動の色彩の強いもの)の両者を調査していた。2001年に「ボランティア活動」に変更した際も、ボランティア活動から市民運動などを除外する記述はない。
 ところが、06年調査から「『自分を含む社会のための活動』の色彩が強いものは除」くとして、市民運動などが除外された。この背景には、01年に改正された学校教育法などで「ボランティア活動など社会奉仕体験活動」という文言が使われ、ボランティア活動を奉仕活動の中に含むものという偏った整理をするようになった影響があるのかもしれない。
 しかし、ボランティア活動は制度改革などの運動とサービス提供活動を両輪として展開されるものだ。この定義の見直しは必須だと考える。

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