ボラ協のオピニオン―V時評―

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万博ボランティア、わたしたちはどう向き合い生かすか

編集委員永井 美佳

 2023年9月、「2025年大阪・関西万博」(以下、万博)の会場建設費は、当初の1250億円から2度目の増額で2300億円程度に膨らむ見通しだと各メディアで報じられた。これを経済界、大阪府と大阪市、日本政府がそれぞれ3分の1ずつ負担する。報道されがちな物件費の増額だけでなく、人件費も開催経費の一部として見る必要がある。2025年日本国際博覧会協会(以下、博覧会協会)の職員は、民間企業、自治体、国からの出向者で組織されるわけだから、職員人件費も実質的に負担していることになる。
 朝日新聞社の全国世論調査(23年11月18・19日、電話で実施)では、万博開催の賛否を問う設問で賛成45%、反対46%と賛否が分かれた。開催地・大阪を含む近畿では賛成60%、反対36%と賛成が多かったが、世論は割れている。
 
 万博にあやかり、地域を盛り上げたいといった主旨の取り組みを目にする機会は増えつつあるものの、全体的な盛り上がりには欠ける印象だ。では大阪・関西の市民社会関係者のなかで、万博はどう話題になっているのか。市民目線で万博に反対する理由には、野鳥の保全策や防災計画への懸念もあるが、万博の跡地活用として計画が進められているIR(統合型リゾート)にカジノ建設が含まれていることが大きい。特に大阪では、カジノと万博をセットにした反対運動が展開されてきた経緯があり、万博への積極的関与は、カジノ・IR推進に「与した」とされる懸念が払しょくできない。万博についてさまざまな立場や考えがあるゆえに、ハレーションを気にして話しにくい雰囲気があるように思う。
 このようななか、24年1月26日より万博のボランティア募集が始まった。会場と「まちなか」を合わせて約2万人のボランティアを、4月30日まで募集している。活動期間は25年4月13日から10月13日、活動時間は1日当たり3~6時間程度。連続した日程でなくてもよく、最低5日以上の活動が必要とされる(「大阪・関西万博ボランティア専用ホームページ」に詳細)。「万博でのボランティア活動が、将来にわたる様々なボランティア活動の契機となり、引いてはSDGsの達成に寄与することが期待されます」と主催者は伝えている。
 〝将来にわたる……活動の契機となり〟はその通りだと思う。万博を機に2万人のボランティアが活動し、初めて活動する人も一定数含まれるだろう。よき人間関係が生まれ、喜びや達成感もあれば、活動のおもしろさや魅力に気づき、万博以外のボランティア活動に目を向けるきっかけになるかもしれない。一方で印象が悪ければ、今後の活動意欲は低下するに違いない。
 万博のボランティアが吉とでるか凶とでるかで、大阪・関西のボランティア・市民活動推進は大きな影響を受けるだろう。吉に近づける現実的な方策としては、ボランティア・市民活動の価値を知る活動経験者が加わり、ときには困難な状況をも知恵と工夫で乗り切る姿を見せることではないだろうか。
 
 当協会はこれまで、博覧会協会と大阪府・大阪市万博推進局が万博のボランティア運営業務を設計するにあたり、そのあり方や留意点について意見交換する機会をもってきた。そのプロセスで提案した参加者のボランティア活動に関する意見や発案等を取り入れることや参加意欲の維持・向上につながる取り組みといった点は運営業務委託の仕様書に、1日当たりの活動時間数の選択肢は募集概要に反映されており、対話による効果は一定あると実感している。カジノ・IR推進の大義として市民参加が利用されないよう、細心の注意を払いつつも、参加した市民が日常的な地域活動や市民活動にも関わりたくなるよう、関係者とともに働きかけを続けていきたい。

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