大阪ボランティア協会は、ボランティア、NPO、企業市民活動を支えるNPOです。

English | サイトマップ | 地図(アクセス)

大阪ボランティア協会

WWW を検索 osakavol.org を検索
メインメニュー

ウォロTOP
最新号のご案内

オピニオン
V時評

バックナンバー
ご紹介

定期購読について

ウォロについて

大阪ボランティア協会TOP

オピニオン「V時評」

『ウォロ』に掲載している「V時評」は、時代の一歩先を読み、新しい課題の発見や提言に努めるオピニオンです。

2016年4・5月号から2017年2・3月号
2015年4・5月号から2016年2・3月号
2014年4・5月号から2015年2・3月号
2014年3月号までの「V時評」はこちらから

V時評T【2017年8・9月号:掲載】
ボランティア活動と賃労働を分かつもの 〜労基署によるNPOへの警告から考える〜

編集委員 筒井 のり子

 ひと月ほど前のことになるが、SNS上のある投稿がNPO関係者の間で話題になった。
 子どもの学習支援や居場所作りをしているあるNPOの代表が、労働基準監督署に呼ばれたというのだ。そこで言われたのは、ボランティアは、@何時から何時まで働くと拘束してはいけない、A給料をもらっている人と同じことをしてはいけない(補助的なことでなければならない)、B書面で契約書を交わしてはいけない。したがって、そのNPOで活動している学習ボランティア(週4日、19時から21時まで、子どもたちに無料で勉強を教えている)に対し、最低賃金以上の時給を支払う必要があるというのだ。すなわち、彼らは「ボランティア」ではなく「労働者」に該当すると見なされたわけである。
 この投稿に対し、同様の無料学習塾を運営している全国のNPO関係者から、「活動自体が成り立たなくなる」と危惧する声が多数寄せられた。投稿主であるNPOの場合は、学習ボランティアは完全な無償だが、いわゆる「有償ボランティア」などと称して中途半端な謝礼を支払っている場合は、事態はより深刻であろう。むしろ、日本において、そうした少額の報酬を支払うまぎらわしい活動の増加が顕著であるため労働基準監督署も動かざるを得なくなってきているとも言えるだろう。
 さらに、この問題は学習ボランティアだけでなく、災害時やその他の活動に適用される可能性もある。なぜなら、何時から何時と時間を限定して募集する活動は多数あるし、有給スタッフの業務と明確に区別できないような、ともに作り上げていくタイプの活動もある。また、最近ではボランティアに対して、活動内容について書面(同意書など)を取り交わすことも増えてきた。
 こうしたことから、改めてボランティアと労働との関係を整理しておく必要があるだろう。
 最低賃金法4条1項は「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」と規定している。活動している人が「労働者」に該当すれば、当該団体は最低賃金の支払義務を負う。この「労働者」は、労働基準法9条の「労働者」と同義だとされているので、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」ということになる。
 では、「使用される」とはどういうことだろうか。それは、「指揮監督下の労働」であるか、支払われた報酬が「労働の対価」であるかどうか、という二つ(「使用従属性」という)によって判断される。「使用従属性」の判断は、1.仕事の依頼・業務従事の諾否の自由、2.業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の程度、3.勤務場所、勤務時間の拘束性、4.報酬の労務対償性、などが挙げられる。
 したがって「ボランティア活動」であることを示すためには、「労働の対価」としての支払いがないことはもちろんだが、1.ボランティア側に活動を断る自由があるか、2.活動内容について細かく指示しすぎていないか、3.時間が決められている場合も休んだり遅れたりする自由があるか、といったことが重要となる。
 投稿したNPOでは、これらのことを労働基準監督署からボランティア側へ説明してもらい、事なきを得たとのことである。  このことから、より根本的に重要なのは、ボランティアの活動(あるいは団体のミッション)への共感度であり、活動プログラム作りへの主体的参画度であることがわかる。これらを尊重し、ボランティアとのコミュニケーションを常に大切にするのがボランティアコーディネーションの真髄なのである。

V時評U【2017年8・9月号:掲載】
NPO法人が減少? 大切な参加の機会づくり

編集委員 早瀬 昇

 今年4月、特定非営利活動法人(NPO法人)の総数が減少した。4月中に新たに認証された法人数を上回る法人の解散があったためで、11法人の減少となった。翌5月は新規認証数が解散数を大きく上回り98法人の増加、6月も24法人の増加となったが、特定非営利活動促進法(NPO法)の施行から19年、一貫して増え続けてきたNPO法人が、今後、減少に転ずる可能性が出てきた。
 実際、ここ数年、法人数の伸び(新規認証法人数から解散法人数を引いた数)はかなり低下している。99〜06年度は年平均約3900法人も増加したが、07〜11年度は平均2800法人、12年度以降は平均1200法人弱と増加ペースが落ちてきた。
 理由は新規認証数の減少と解散数の増加だ。新規認証数は99〜06年度は年平均約4000。07〜11年度は平均約3700、12年度以降では平均約2900。東日本大震災発災直後の11年度には約3900法人が誕生したが、以後、毎年、新規認証数は減り続け、16年度は2200にとどまった。

 なぜ新規認証が減ってきたのか。大きな要因と考えられるのが一般法人制度の利用増加だ。
 08年12月、公益法人制度改革の一環として一般社団法人・一般財団法人制度が始まり、これら一般法人を選択する団体が増えている。法人番号公表サイトで調べると、8月初め時点で一般社団法人が約4万4000、一般財団法人が約7000。NPO法施行から10年後に誕生した一般法人は、既にNPO法人とほぼ同数だ。この中には旧・公益法人から移行した約1万2000法人も含まれるから、新たに生まれた一般法人は約3万9000だが、NPO法人よりも2割ほど早いペースで増加している。
 監督官庁がなく、情報公開などの規制もなく、登記するだけですぐに法人化できる一般法人は、「法人格を得る」ということだけなら便利な仕組みだ。
 一方、NPO法人は当初「市民活動法人」として構想されたように、市民参加を重視する法人格。一般社団法人は正会員2人でも設立できるが、NPO法人は10人以上。市民に評価を任せるための情報公開義務や認証時の縦覧もある。それに税の優遇が得られる認定NPO法人になるには、「パブリック・サポート・テスト」でチェックされる幅広い寄付者の関与がなければならない…など、市民の参加を重視した法人格となっている。
 一般法人でも参加型の運営はできるし、NPO法人でも市民参加度の低い団体も少なくない(注)。とはいえ、NPO法人より一般法人が選ばれがちだと、市民の「参加の機会」が広がりにくくならないか。そんな懸念も感じる。

 一方、解散法人が増えてきた。年平均の法人解散数は99から06年度は約150だったが、07〜11年度は約900、12年度以降は約1600だ。法施行から19年を経て、さまざまな要因から解散を決断する団体が増えてきた。
 筆者が理事を務めてきた北河内ボランティアセンターも、今年3月に解散総会を開き、33年間の歴史に幕を閉じた。特に障害児者の暮らしを市民の力で支える拠点として活動してきたが、活動を支えてきた助成金が、ここ数年、大幅に減少。緊急の募金活動などで踏ん張ってきたが、ついに解散することとなった。
 5月、その活動を総括する集いが開かれ、多くの関係者が参加。活動の蓄積を確認し、これまでの活動の意味を共有できた。市民参加度の高い団体は、解散してもメンバーの間に思いを残すことができる。そう実感した集いだった。
 法人格の種類はともかく、やはり市民参加の機会づくりが大切なのだと言えよう。

(注)内閣府の「平成27年特定非営利活動法人に関する実態調査」では、全体の32・5%は「事業活動に携わるボランティア数」が「0人」であった。

V時評T【2017年6・7月号:掲載】
生活支援サービスの意味するもの

理事長 牧里毎治

 2015年度の介護保険制度改定で介護予防・日常生活支援総合事業に介護予防・生活支援サービス事業が位置づけられ、今年度までに市町村がこれらのサービスを実施するよう義務づけられた。これまでの要介護認定で要支援1と2に判定された人びとが介護サービスから外され、介護難民を生み出すのではないかという批判もあるが、これまで位置づけの曖昧だった生活支援サービスを介護保険制度に加えることが注目されている。生活支援サービスと考えられる家事支援、食事サービス、移動・外出支援などは介護サービスとして認定されてこなかったけれども、介護予防の観点からは重要なサービスとして政府もやっと認めたともいえる。
 確かに、介護と生活支援のサービスの線引きは、困難を伴う。栄養価の高い食事支援があれば、高齢者本人も健康で介護制度を使わないで済む。移動の介助や外出支援があるなら残された身体機能が活かされ、介護サービスは少なくて済む。炊事、洗濯、掃除など家事支援も足りないところを補ってもらうだけで、自分の残存能力を活かすことができることは誰もが認めるところではある。庭の草引きやペットの世話など贅沢とされがちなことも、孤独で生きがいを失いかけている高齢者には自立心を促す生活支援になるかもしれない。

 問題は、生活支援サービスが事業として経済的、経営的に持続可能なサービスとなり得るのかである。「住民主体による介護予防・生活支援サービス」が期待されているところではあるが、住民による助け合い活動やボランティア活動をサービスとして位置づけて良いのだろうかという疑問は残る。サービスという言葉には「おもてなし」や「心配り」や「ふるまい」など奉仕の心が含まれているのだろうが、介護保険事業の一環として運営するとき、限定も無く際限のない生活支援をサービスとして成立させることができるのだろうか? 事業化したサービスは、時間単位で区切るか定型化した生活援助行為でなければ、利用者も特定できないし、経営の見通しも立てることができない。
 くせ者は、「支援」という言葉と内容だ。支援は、サポートという意味に理解したいが、確かに定型化した食事支援、家事援助や外出支援を通じてサポートを行うことで要支援者の自立心や向上心を培うことはできるかもしれない。しかし、それは要援助者と支援者の間の信頼関係や共感関係があって初めて成り立つものであって、生活援助行為だけを切り取ってサービス効果が期待できるのだろうか? 住民やボランティアの主体的な支援を当て込んで「住民主体による介護予防・生活支援サービス」に期待するのはいかがなものだろう。

 サービスを一つの商品として経済市場に供給するには介護保険という社会市場であっても定型化し様式化しなければ、流通できない。それに行政サービスとなると基本的には個人給付の形態をとらなければならなくなるし、給付を受ける資格要件、つまり認定や判定が付随してくる。となると、介護認定には至らない生活支援を必要とする人の認定をどうするのかという技術的・手続き的課題が生じてくる。個人給付として判定や認定の要らない生活支援とは、住民団体やNPOなど民間団体が自由に自主的に、介護保険制度とは直接的に結びつかない65歳以上高齢者への個人的支援や集団支援を行うサポートによって成り立つものである。被介護保険者である65歳以上の高齢者が行うボランティア活動や助け合い活動は、本来的には介護保険制度には馴染まないものなのではないだろうか。

V時評U【2017年6・7月号:掲載】
共謀罪の本質は「監視」への欲求

編集委員 増田宏幸

 共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の本質は「社会の監視」である。そう断言して差し支えないと筆者は考える。
 法案を巡る主な論点はいくつもあるが、その一つが国連の「国際組織犯罪防止条約の締結に必要」という主張だ。締約していないのは日本を含むわずか11カ国で、先進国では日本が唯一の未締結国だという(注1)。そう聞けば「共謀罪法は要る」と思ってしまうが、問題は国連条約の中身だ。
 第3条「(法の)適用範囲」で定める犯罪は「性質上国際的なものであり、かつ、組織的な犯罪集団が関与する……(a)第五条、第六条、第八条及び第二十三条の規定に従って定められる犯罪(b)前条に定義する重大な犯罪」(注2)とある。第5条は組織的な犯罪集団への参加、第6条は犯罪収益の洗浄、第8条は公務員の腐敗行為、第23条は犯罪の立証に不可欠な証人や裁判官に対する脅迫・暴行など司法妨害を挙げている。一読して、条約の主たる標的は薬物や銃器の密輸出入その他、多国間にわたる不正取引で資金を得るマフィアや暴力団といった犯罪組織であり、マネーロンダリングだと読み取れる。

 同条約第2条では「『重大な犯罪』とは、長期四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪を構成する行為をいう」とあり、日本では676の罪が対象になる。これを絞り込んだのが共謀罪法案の277罪だが、首をひねりたくなるようなものが多い。朝日新聞がまとめた一覧表(5月31日付)を見ても、例えば、▽森林法(保安林の区域内における森林窃盗、森林窃盗の贓物の運搬等)▽補助金適正化法(不正の手段による補助金等の受交付等)▽著作権法(著作権等の侵害等)▽種の保存法(国内希少野生動植物の捕獲等)――の他、実用新案法、意匠法、商標法といった適用対象が並ぶ。組員による補助金詐取がないとは言わないが、条約締結のためなら、むしろ暴力団の非合法化、公務員と組員との接触禁止などの法整備こそ先決だろう。
 適用対象の広さから感じるのは捜査機関、もっと言えば「統治する側」の欲求だ。Nシステム(主要道における車両ナンバー読み取りシステム)や防犯カメラの映像だけでなく、通信傍受法で対象が限定されている盗聴や、「違法」判決が出た令状なしのGPS捜査などを捜査に自由に使いたいと考えていてもおかしくない。今回の法案を素直に読み解くと、「国連条約締結」を大義名分にテロ対策を上乗せし、盗聴などの捜査手法を最大限拡大・適用しようという意図を感じる。

 さらに、ひとたび法律ができると、制定時の意図を超えて拡大運用される可能性があることは、歴史が物語っている。法を運用する「ひと」に明確な悪意はなくとも、法や組織に忠実であるがゆえに最悪の結果を招くことは、ナチスのホロコーストなどからも明らかだ。不作為や命令、指示、忖度もあれば、点数稼ぎで「罪をつくる」ことすらあるだろう。筆者は、ある意味「まじめな」捜査員が、無用な監視・摘発活動に励むことを恐れる。
 共謀罪法が自由な市民活動を萎縮させかねないと思うのは、岐阜県警大垣署が風力発電施設の勉強会を開いていた市民の情報を集め、事業者側に提供した件や、大分県警別府署が昨年夏の参院選時、労働組合の敷地に無断でビデオカメラを設置した件など実例があるからだ。安倍首相は参院での質疑で「法案は計画や準備行為など行為を処罰するもので、内心の自由を処罰するものではない。国民の権利、自由が不当に侵害されることがあってはならない」と答弁した。この言葉を決して忘れてはならないし、我々の手には政権を選ぶ選挙権があることも、改めて胸に刻むべきだ。

(注1、2)外務省のホームページより。国連条約は2003年9月発効。17年4月現在の締約国は187の国・地域。

V時評T【2017年4・5月号:掲載】
誰と「ともに生きる」のか?

編集委員 牧口明

 今からおよそ半世紀前の1970(昭和45)年5月29日。神奈川県横浜市で、脳性マヒの児童をその母親がエプロンの紐で絞殺するという事件が起こった。この時、世間の同情は殺された障害児にではなく殺した母親に向けられ、近隣の人びとやPTAなどによる減刑嘆願運動が繰り広げられた。そのことに、殺された児童と同じ脳性マヒ者として異を唱えたのが「全国青い芝の会神奈川県連合会」に集う障害者たちであり、ここから日本における障害当事者による人権回復の運動が始まったとされる。
 同会に関してはもう一つ、この事件から7年後の77(昭和52)年4月12日に、車いす利用者のバス利用が制限・拒否されていることに抗議しておこなわれた川崎市での「バス・ジャック事件」も有名である(注1)。
 これは、この時期、それまでは家庭や施設に閉じこめられていた障害者が少しずつ街に出始め、そのことの当然の成り行きとして車いす利用者等の公共交通機関利用という出来事が起こり始めていたことを時代背景としている。
 今日、街で車いす利用の障害者と出会うことは日常的にあり、その人たちが公共交通機関を利用している姿に接することも珍しくはない。しかし、当時の公共交通機関はどこにおいても、車いす利用の乗客を想定した受け入れ態勢がとられておらず、車いす利用者と交通機関の間で「乗せろ」「乗せない」といった争いが各地で起こされていたのである。

 これらの闘いがおこなわれた、いわば「障害者運動の先進地」とも言える神奈川県で昨年、施設入所中の障害者19人が殺害され、26人が傷つけられるという衝撃的な事件が起こった。犯人とされているのはその施設の元職員で、極端な優生思想の持ち主であったようだが、ネット上では彼に共感する書き込みも多いと聞く。
 青い芝の会が母親による障害児殺しへの減刑嘆願運動を批判し、抗議の声を上げてから今日までの間に障害者運動の領域では、国際障害者年の取り組みや障害者権利条約の締結等、世界的な権利擁護・確立の動き等も手伝って、日本においても「バリアフリー」といった言葉が一般化し、昨年4月には「障害者への合理的配慮の実施義務」を謳った障害者差別解消法も施行された。私たちはこの流れをさらに発展させなければならない。

 さて、前述の1970年代以後の障害者運動の中で広がった言葉として「ともに生きる」という言葉(理念)がある。今日では障害者福祉や教育の領域に留まらず、さまざまな領域で語られるようになっている。
 心身の障害のあるなしや民族・国籍・文化や宗教の違い、その他さまざまな属性や思想の違いを超えて全ての人びとが「ともに生きる」ことのできる社会をつくり出そうとする考えは大切にされなければならない。しかし私たちは、相模原事件の犯人とされる元職員や、今日、日本を含めて世界各地に広がりつつあるヘイト・スピーチやヘイト・クライム(注2)を繰り返す人たちとも「ともに生きる」ことができるだろうか? もちろん、彼らが「心変わり」してくれるよう働きかけなければならないし、その努力を放棄してはならないだろう。しかし、そのことがかなり困難なことも事実だ。
 そこで考えなければならないことは、私たちは「誰とともに生きようとするのか」ということではないだろうか? ヘイト・スピーチやヘイト・クライムを繰り返す人たちや、権力を背景に社会的に弱い立場にある人びとの生存権や生活権を侵害して顧みない人たちとともに生きるのか、それとも、そうした権利侵害の被害に遭っている人たちとともに生きるのか。そのことが、今後私たちに厳しく問われてくることになるのではないかと思われる。

(注1)この時期青い芝の会では、「車いす利用者のバス乗車拒否は障害者を地域社会から排除する行為である」として、運輸大臣(当時)や陸運局に車いす利用者のバス乗車に関して要望書を提出したりしていたが、行政も企業も労働組合も誠意を持ってその訴えに応答しようとはしなかったため、この運動の発端となった乗車拒否が最初におこなわれた国鉄(当時)川崎駅前のバスターミナルで、呼びかけに応えて全国からはせ参じた車いす利用者100人が28台のバスに乗り込むという行動に出た。
(注2)ヘイト・スピーチとは、民族・国籍・文化や宗教の違い、心身の障害のあるなしなど、自分から主体的に変えることが困難な属性に基づいて個人または集団を攻撃、脅迫、侮辱する発言や言動のこと(憎悪発言・表現)であり、ヘイト・クライムは、それがさらに、暴力行為等の犯罪にまで及んだ状態のことである(憎悪犯罪)。

V時評U【2017年4・5月号:掲載】
問われる一人ひとりの主体性 「SDGs/持続可能な開発目標」

編集委員 永井美佳

 「SDGs(Sustainable Development Goals)/持続可能な開発目標」について、聞きなれない方がまだ多いかもしれない。筆者自身も、2016年11月23日開催の「市民セクター全国会議2016」(特定非営利活動法人日本NPOセンター主催)において、重点的にSDGsが取上げられており、そこから関心を寄せたところである。
 SDGsは、15年9月、「国連持続可能な開発サミット」において、150を超える加盟国首脳の参加のもとで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた17の大目標(Goals)と169の小目標(Targets)からなる「持続可能な開発目標」のことで、16年1月1日に正式に発効した。SDGsは、MDGs(ミレニアム開発目標)の成果をさらに一歩進め、あらゆる形態の貧困に終止符を打つことをねらいとしている。国連は、30年までに、「すべての人に普遍的に適用されるこれら新たな目標に基づき、各国はその力を結集し、あらゆる形態の貧困に終止符を打ち、不平等と闘い、気候変動に対処しながら、誰も置き去りにしないことを確保するための取り組みを進めてゆく」とうたっている(国際連合広報センターホームページ参照 http://www.unic.or.jp/)。

 ここで注目すべきは、SDGsの全体目標が「Leave no one behind〜誰ひとり取り残さない」であり、目標達成の主体は各国の「すべての人」で、「その力を結集」して取り組むよううたわれていることだ。つまり、私たち一人ひとりが目標達成の主体なのである。だとすると、どうやって「じぶんごと」にするか、が私たちに問われることになる。
 ここで一つの提案だが、自身の団体や会社の各種活動や事業の目的や今年度計画と、SDGsの169の小目標を照合してみることをお勧めしたい。これは、「日経エコロジー」(17年1月号)の「『SDGs』活用の最前線」に紹介されていた伊藤忠商事の「CSRアクションプラン」にヒントを得たものだが、実際に自団体の事業と照合してみるとSDGsとの関連性を実感しやすかった。
 たとえば、大阪ボランティア協会で力を入れている「災害時に孤立しがちなスペシャルニーズ(特別な配慮が求められるもの)をもつ人≠支える仕組み構築事業」は、「2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する」(小目標11・7)の達成に貢献するといえる。また、ボランティアコーディネーション事業の「インクルーシブボランティア研究会」や裁判員ACT連続セミナー「裁判員裁判から見えてくる社会的孤立とその課題」などで議論・検討されている内容は、「2030年までに、年令、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する」(小目標10・2)の達成と関連する。さらに協会の全事業に通じるコーディネーション機能は、「さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを推奨・推進する」(小目標17・17)の達成に貢献している(小目標は、17年2月発行、特定非営利活動法人開発教育協会発行『SDGsハンドブック―持続可能な開発目標を学ぶ』より引用)。

 SDGsとどう向き合うか。国際協力や環境NGO/NPO、企業の模索は既に始まっている。政府も動き出している。地方自治体、協同組合・労働組合、市民セクターはどうか。多様な主体と対話・協働する際の共通言語となり得るSDGs。一見とっつきにくいかもしれないが、この好機にまず一歩を踏み出してみてはどうだろう。敬して遠ざける≠ナはもったいない。

問合せ

社会福祉法人大阪ボランティア協会 市民活動総合情報誌『ウォロ』
〒540-0012 大阪市中央区谷町二丁目2−20 2階
市民活動スクエア CANVAS谷町
TEL 06-6809-4903、FAX 06-6809-4902
Eメール:office@osakavol.org

※この事業は、運営経費の一部を「大阪府共同募金会」の助成を受けて実施しています。大阪府共同募金会

↑ページの先頭へ

社会福祉法人 大阪ボランティア協会

〒540-0012 大阪市中央区谷町二丁目2−20 2階
市民活動スクエア CANVAS谷町
TEL 06-6809-4901 FAX 06-6809-4902
office@osakavol.org

お問い合わせ 地図

 

Copyright 1996,2016 Osaka Voluntary Action Center. All rights reserved.